昨年9月に宝塚歌劇団の25歳宙組団員が急死した問題で、歌劇団、劇団親会社の阪急阪神ホールディングス(HD)側が28日午後、大阪府豊中市内で緊急記者会見を開き、劇団関係者らのパワーハラスメントなどがあったことを認め、遺族側へ謝罪した。同日、遺族側との交渉も合意に達したと発表した。

会見での主な一問一答は次の通り。

-14項目のパワハラを認めた。亡くなった団員ととの因果関係、認めるに至った判断理由は

阪急阪神ホールディングス(HD)嶋田泰夫社長 原因を1つに特定するのは難しいと思っている。公演のスケジュールが過密になる中、長時間の活動を余儀なくさせ、過重な負担をかけた。劇団内において職場におけるパワーハラスメントに該当する行為を行ったこと。長年にわたり、劇団員にさまざまな負担を強いるような運営を続けてきたことが理由と考え、謝罪した。

-当初はハラスメントを認めていなかったが、認めるに至った転換点はあったのか

嶋田社長 ご遺族と協議を重ねてていく中、私どもが調査をお願いした調査報告書の内容にみにとどまらず、ご遺族から提供いただいた資料を検討し、関係者にヒアリングで詳細を確認した。その過程で厳しい叱責(しっせき)が悪意はなかったとしても、ハラスメントに当たるという気づきが劇団員にもなく、われわれが何よりも教えてさえ、いなかったことを改めて認識した。

-上級生が謝罪の内容は

嶋田社長 謝罪の内容、だれが謝罪したかの回答は控えさせていただきたい。

-昨年11月の会見では調査報告書の内容を盾に「証拠があるなら是非お見せいただきたい」の発言について

村上理事 以前、そのような発言をしたとは恥ずかしく、大変申し訳ない気持ちでいっぱいです。当時、ご遺族への思いが至らず、反省している。おわび申し上げたい。

-今後の宙組について

村上理事 今後、公演を再開していくには心身に負担のある劇団員もいる。できれば、少しでも早い段階でみなさまにご報告できるようにしたい。

-上級の謝罪の言葉、遺族への慰謝料の解決金額は

嶋田社長 手紙による謝罪です。個人の心情による謝罪なので、言葉については控えさせていただきたい。金額は控えさせていただきたい。

-具体的な謝罪の団員の人数は

村上理事 人数は控えさせていただきたい。

-なぜ手紙での謝罪だったのか

大塚順一執行役員 遺族側との協議の中で、手紙での謝罪という形になった。

-宙組の改編は

村上理事 劇団としても反省している。劇団員もスタッフも不安な状況でも頑張ってきてくれました。受け止めるにも時間がかかる。まだまだ心の整理ができないが、劇団員は日々、稽古にがんばってくれている。時期がくれば、現体制で再開をしたい。時期が来たら報告させていただきたい。

-再開は年度内、年内か

村上理事 できれば年内と考えている。

-劇団側が劇団員をかばっているとの見方もあった

嶋田社長 かばっているということは甘んじて受け入れさせていただく。もしもわれわれが上級生をかばっているとみられるということがあったとするなら、われわれのご遺族に対する思いが足りなかったことがすべてだと考えている。重く反省している。

-なぜ同HDの角和夫会長がこの会見に出席されないのか

嶋田社長 阪急阪神ホールディングスの代表取締役社長である私が説明するのが最適だと考えている。宝塚歌劇団の管理をきっちりとやっていかなければいけない責任は、阪急阪神ホールディングスに重い責任がある。

-役員報酬を自主返納された。これは処分ととらえいいのか

嶋田社長 役員報酬の自主返納は処分ととらえていただいてけっこうです。

-ハラスメントの認識したのは「気づき」があったのは、劇団自らが気づいたのか、それとも以前から認識していたが、正すことができなかったのか

嶋田社長 仮に悪意はなかったとしてもハラスメントに当たることもある「気づき」が劇団員になかったと説明したつもりだったが、そこが説明が足りないのであればおわびしたい。

-上級生の謝罪の手紙について、遺族側の受け止めは

社長 双方が合意に至った現状を鑑みて、詳細についてはご容赦を願いたい。

-直接、ご遺族と会われた

嶋田社長 ご遺族の方には本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。取り返しのつかないことをしたことに心よりおわびを申し上げたい。

村上理事 今後、2度と起こさないという強い思いを持って、再発防止に取り組んでいきたい。本当にご遺族の方に申し訳ない。