第96回米アカデミー賞で、アジア初の視覚効果賞を受賞した「ゴジラ-1.0」の山崎貴監督(59)が、米俳優ロバート・デ・ニーロ、ウィル・スミスら世界的な俳優が所属する、米国の大手エージェンシーCAA(クリエーティブ・アーティスツ・エージェンシー)と契約した。米誌「Variety」電子版が28日、報じた。

「ゴジラ-1.0」は、23年12月21日(日本時間22日)に発表された米アカデミー賞のノミネート候補10作品に残り、ショートリストに選出されたこと自体、日本映画では初の快挙だったが、「Variety」は「日本作品として、アカデミー賞視覚効果賞に初めてノミネートされ、受賞を果たした」と快挙を紹介。さらに山崎氏監督が、68年「2001年宇宙の旅」のスタンリー・キューブリック監督以来55年ぶり史上2人目となる、監督としての受賞の快挙を成し遂げたことも「監督が視覚効果賞を受賞するのは55年間で2回目でした」と報じた。

「ゴジラ-1.0」は、日本国内では1954年(昭29)の初代「ゴジラ」(本多猪四郎監督)の公開日と同日の23年11月3日の「ゴジラの日」に、北米では同12月1日から邦画実写史上最大規模となる2308館で公開。日本国内の興行収入(興収)は、20日時点で65億円を突破。日本以外の海外での興収は7359万ドル(約109億8000万円)超で、全世界興収は175億円を突破している。「Variety」は「『ゴジラ-1.0』は、外国語映画として、米国の興行収入史上3番目に高い興行収入を記録した」と報じた。

「ゴジラ-1.0」は、山崎監督が脚本も担当。主演の神木隆之介(30)が、戦争から荒廃した日本に生還も両親を失った敷島浩一を、浜辺美波(23)が焼け野原の戦後日本を単身で強く生き、戦争帰りの敷島と出会う大石典子を演じた。敷島はゼロ戦の操縦士で、機体に不備があると偽り特攻を回避した島が、ゴジラに襲われながらも生き残る。悔恨の念を抱き帰京すると、他人に赤ん坊を託され身寄りもない典子が自宅に押しかけ、血縁がないながらも、ようやく生き直そうとしている中で東京に上陸したゴジラに典子が襲われ、最終的にゴジラ討伐作戦に参加する物語。

10日(日本時間11日)に受賞した際、米各メディアは「製作費1500万ドル(約21億円)の予算で、35人のVFX(視覚効果)スタッフで作られた低予算映画が、ハリウッド大作を打ち破った」などと、受賞を驚きを持って報じた。「Variety」は、改めて「1500万ドルの予算がかけられた映画」とした上で、あらすじを紹介。その上で、山崎監督が制作会社「白組」に所属していることも紹介し、同社を「名門の視覚効果会社」と評した。そして、10年に「SPACE BATTLESHIP ヤマト」、19年にはアニメ映画「ルパン三世 THE FIRST」を製作したなど、同監督のフィルモグラフィーも簡単に紹介した。

CAAは、22年の米アカデミー賞で国際長編映画賞を獲得した「ドライブ・マイ・カー」(濱口竜介監督)に主演し、全米映画批評家協会賞でアジア人俳優初の主演男優賞を受賞した西島秀俊(52)と契約したと、23年4月に「Variety」が報じている。同誌は山崎監督とともに、フランス映画として57年ぶりに米アカデミー賞脚本賞を受賞した「落下の解剖学」のジュスティーヌ・トリエ監督(45)とも契約したと報じた。同誌は、山崎監督との契約は「国際的な顧客名簿を拡大するというCAAの野心を強調するもの」と報じた。