Mr.Childrenが、アニメ映画「きみの色」(8月30日公開)に、主題歌「in the pocket」を書き下ろしたことが4日、分かった。

昨年春、オファーを受け作詞作曲した桜井和寿(54)は、山田尚子監督との初ミーティングの日に、駐車場で巣から落ちたすずめのひなを拾ったという。家に連れ帰り、飼育法を調べると「親鳥と共に、飛び立つ練習をし、成長していくらしい」と分かり「僕は慌てて発見した場所に戻り、親鳥に謝罪しながら、拾った場所に雛鳥を戻した」という。

その際、胸に湧いた「健やかな成長を願いながら」という感情が、物語と“化学反応”を起こした。子どもの頃から人が「色」で見える日暮トツ子(声=鈴川紗由)、同じ学校に通っていた美しい色を放つ作永きみ(同=高石あかり)音楽好きの影平ルイ(同=木戸大聖)の高校生3人がバンドを組み、心を通わせ、迷い、悩みを超えて前進していくように明るく、力強い行進曲のような楽曲が完成。バンドの人気を不動のものにした94年の「innocent world」をほうふつとさせる、みずみずしい1曲となった。

山田監督は「『そーっっとね』とくしゃくしゃの笑顔で段ボールに保護したすずめをのぞかせてくださった桜井さんがその場の何よりも柔くて強くはかなく感じて、すっかり身を任せようと思ったのでした」と桜井への絶対的な信頼を口にした。桜井は「あの日出会った雛鳥のように、抱き上げるでも、背中を押すでもなく無理に力を加えることなく、主人公たちにはその繊細さのまま、その柔さのまま、しなやかに強く飛び立って欲しい。そんな歌でありたいと、願いを込めてレコーディングさせてもらった」と振り返った。

◆桜井和寿コメント

この映画の主人公たちは

焼き上がる前の陶器のように、

少し力を加えただけで壊れてしまいそうなくらい繊細に思える。

言い換えれば、柔らかくしなやかだ。

 

ある日のこと(なんと偶然にも初めて山田監督とお話しする機会を頂いたその日)、

ミーティング場所の駐車場に車を停めると、巣から落ちてしまった飛べない雛スズメを見つけた。

心配になって、拾って、家に連れて帰った。飼育方法を調べようとネットで検索すると、どうやら落ちてしまった「巣立ち雛(そう言うらしい)」は、そこからまた親鳥と共に、飛び立つ練習をし、成長していくらしい。

 

僕は慌てて、雛を発見した場所に戻り、雛を探しているであろう親鳥に謝罪しながら、拾った場所に雛鳥を戻した。

健やかな成長を願いながら。。

 

あの日出会った雛鳥のように、

抱き上げるでも、背中を押すでもなく

無理に力を加えることなく、

主人公たちには

その繊細さのまま、

その柔さのまま、

しなやかに強く飛び立って欲しい。

 

そんな歌でありたいと、

願いを込めてレコーディングさせてもらった。

 

◆山田尚子監督コメント(「in the pocket」を聴いて)

滲んでぼやけた雲の隙間から、ぱっと光が差し込んできたみたいでした。まぶしくて、でも輪郭がはっきりとしていて、なんだかとてもビビットな色味の音楽だと感じました。だけど、もう一度聴いてみると今度は曖昧な色も見えてきて、いろんな色の集合体がこの曲を形作っているんだな、と夢中になって何度も再生ボタンを押しました。

Mr.Childrenの音楽を聴いていると、その主人公目線で描かれる「誰か」にどうしても思いを馳せてしまいます。曲の中に描かれる「彼女」だったり「親友」だったり。全く知らない人のはずなのに、自分のあこがれの人に思えたり、一緒に失恋した気持ちになったり。経験したことのない場所やにおいを歌に乗せて教えてくれる、まるで映画を見ているような感覚に胸が騒ぎます。

人生の中にずっとついて離れないMr.Childrenの音楽。「きみの色」でも桜井さんの目に映った世界を聴いて、観ることができるなんて思いもしませんでした。

打ち合わせで初めてお会いした時に、「そーっっとね」とくしゃくしゃの笑顔で段ボールに保護したすずめをのぞかせてくださった桜井さんがその場の何よりも柔くて強くはかなく感じて、すっかり身を任せようと思ったのでした。

◆川村元気プロデューサーのコメント

「きみの色」は、人のことが「色」で見えるトツ子が、学校をドロップアウトしてしまったきみと、進学先に悩みを抱えるルイと三人でバンドを組む物語です。

しかしながら、この映画は(この世界に多様な色があるのと同じように)その物語の外側にも内側にも、大きく深く広がっています。

その「色」を表現するために、山田尚子監督の繊細な映像表現に加えて、どうしても音楽の力を借りたいと思っていました。

「きみの色」の少年少女たちが感じていること、彼らが小さな町で楽器を奏でながら見ている世界を、音楽で表現してくれるアーティストを探した時に、「大人のような子供たち」と称するバンド以外に思い当たりませんでした。

この主題歌の打ち合わせの日に、桜井和寿さんが偶然保護した雛鳥を見せてもらったときに、言葉を交わすでもなく僕たちが飛び立つべき方向が定まったような気がしました。

この映画が、あの雛鳥のような無垢な力強さを持った主題歌と共に世界に飛び立つ日を楽しみにしています。