俳優佐藤隆太(45)が、16日まで阪神・淡路大震災をテーマにした主演舞台「明日を落としても」(兵庫県立芸術文化センター)に出演中だ。22~27日は東京・EXシアター六本木で上演される。25歳と55歳を演じる、現在45歳の佐藤に聞いてみた。【小谷野俊哉】
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佐藤が演じる神戸の創業80年の老舗旅館の社長・桐野雄介は現在55歳。1995年(平7)1月17日の震災で心の傷を抱え、人生に向き合って生きてきた。その25歳と55歳を演じる。
「25歳と55歳というところを、どこまで変化をつけるか。そこは自分で決められるところではなく、演出家の栗山民也さんがどういうふうな表現で見せていこうと考えたか、だと思います。行ったり来たりするので、どうやって見せるのかというのは、すごく楽しいです。25歳から55歳になっても変わらないところもあるし、変に変化をつけすぎて、芝居してるなって、狙ってるなって見えちゃうのはすごく寂しい。そこはナチュラルにと思っています」
栗山氏からは「言葉のキャッチボールで、言葉の裏側にあるものをちゃんと表現できる役者」として、指名があった。
「だとしたら俺じゃない、っていうことをちょっと冗談で思いましたけど、それって本当にそう思ってくださって、僕の可能性に賭けてくださったのがすごくうれしいです。だからこそ、栗山さんの期待にちゃんと応えられるようにしたいんです。一個一個の会話、表面的なことだけじゃなくて、それを説明しすぎないようにしたいと思うんです。やっぱりその醸し出す空気感とかで、お客さんに何か感じ取ってもらえるような表現をしたい。だからすごく大きな課題になる作品だなと思います。勢いでバーッと押せる作品ではない」
08年にTBS系「ROOKIES」で連続ドラマ初主演。不良だらけの野球部の新米監督を演じて、28歳で大ブレークした。そして今、45歳になった。
「本当に何も変わってないなって思っちゃいますね。『あんまり変わらない』って言ってくれる人は、褒めてるのかよく分からない。悪く言うと、成長してないなって思っちゃうところもあるんです。まあでも、いろいろな作品とか、いろいろな方と出会って、経験値は知らずのうちに昔に比べれば上がっているんでしょうけど。それはね、僕に限らず、なかなか変わんないなって」
40代を迎えると“オジサン”になってしまいがちだが…。
「僕たちの仕事は、そういった意味では恵まれているかもしれないですよね。やっぱり年齢も、いろいろな役もやらなきゃいけないですから。いろいろな刺激があるので、そこで枯れてるわけにはいかないみたいな。そういう機会が多いかもしれないですよね」
今回の舞台のテーマになる、阪神・淡路大震災が起きた時は中学3年生だった。
「僕は東京にいましたから直接的な経験をしていない。だけど、テレビをつければ本当に大変なことになっている。幼いながらに、その実感の持てなさ、みたいなところがすごく怖く感じたのを覚えています。何でこんな大変なことが起きているのか、周りを見ても地震による影響が目に見えてあるわけではない。その一方で、被災された方たちが本当に大変なのは分かるから。その実感が持てないところに、何かその歯がゆさとか恐怖心を覚えました」
(続く)
◆佐藤隆太(さとう・りゅうた)1980年(昭55)2月27日、東京都生まれ。日大芸術学部映画学科在学中の99年(平11)に舞台「BOYS TIME」で俳優デビュー。00年TBS系「池袋ウエストゲートパーク」。02年TBS系「木更津キャッツアイ」。05年「絶対恐怖Boothブース」で映画初主演。07年「日芸賞」。08年TBS系「ROOKIES」で連続ドラマ初主演。09年「ビロクシー・ブルース」で舞台初主演。10年フジテレビ系「まっすぐな男」。179センチ。A型。



