女優工藤夕貴(40)が29日、静岡県富士宮市で経営する「カフェ・ナチュレ」をリニューアルオープンした。同市は3月15日に震度6強の地震に見舞われ、カフェも大きな被害を受けた。工藤は昨年10月に刑事だったAさん(47)と再婚。Aさんは今回の地震をきっかけに仕事を辞め、カフェの仕事を始めた。心強いパートナーを得た工藤は、被災後約1カ月半で再オープンにこぎつけた。

 工藤は再オープンのこの日、スタッフとともに一日中接客に務めた。3月の地震から約1カ月半。開店準備で前夜は徹夜した。「あっという間でした」とホッとした表情を見せた。

 先月の地震で、カフェの壁に細かい亀裂が入り、食器類は床に落ち、ほぼすべて壊れた。被害総額は推定で100万円以上。「死ぬかと思いました。ショックだったけど、東日本大震災の被害を思ったら、大したことはないです」と淡々と振り返った。

 被災後、カフェを休業。「リニューアルするなら、さらに良い物を提供したい」とすぐに気持ちを切り替えた。「計画停電でも提供できるものを」として、ガスこんろでも温められるタジンカレー(1500円~)を新しくメニュー入りさせた。新メニューのカレーには、証明書付きのオーガニックスパイスを十数種使用。以前から敷地内で無農薬野菜などを作り、体に良いものにこだわったメニューを提供してきたが、さらにこだわりをプラスした。

 精力的なリニューアルには、夫の支えがあった。「おばあちゃんになってもアクションをこなせる女優でいたい」として、2年前から空手を習い始めた。工藤に空手の手ほどきをしたのが今の夫だった。

 交際約1年半を経て、昨年10月に婚姻届を提出。12月に挙式・披露宴を行った。工藤は再婚になる。元刑事のAさんは極真空手初段、柔道5段。屈強な体格だが、穏やかな笑顔が印象的なAさんについて「自分に足りないものを埋めてくれる人。頼れる人です」。絶大な信頼感を寄せている。

 地震が2人の生活を変えた。Aさんは「刑事は常にピリピリとした生活。2人でのんびり楽しみながら暮らすのもいいかと思いました」と先月末に退職。カフェの仕事をするようになった。料理好きのAさんは工藤とともに新メニューを考案。再オープンのこの日はキッチンに立った。

 工藤は女優、Aさんは刑事の仕事が多忙で、すれ違い生活が続いていたが、一緒に過ごす時間が増えた。「お互いキツいところもあるので、しょっちゅうケンカしてますよ」。夫を横目に小声で言いながらも、幸せそうな笑みがこぼれた。【近藤由美子】