歌手美川憲一(66)が、約25年間所属した芸能事務所「エービープロモーション」を社員6人とともに独立し、新事務所を設立することが10日、明らかになった。

 美川へのギャラや社員の給料の遅配、取引関係への未払いなどから、事務所社長のA氏との関係が悪化していた。NHK紅白歌合戦の衣装対決で“宿敵”の演歌歌手小林幸子(58)もお家騒動の渦中にあるだけに、状況は違うが「美川、お前もか…」である。

 美川が独立を決断したのは最近で、それにともない経理、宣伝担当などの6人の社員も7月31日付で退社した。美川は現在、海外に行っており、帰国次第、正式に事務所とのアーティスト契約を解除し、6人とともに個人事務所を設立する。美川は都内に美食ダイニングを経営しており、そのスタッフも事務所運営に参画する方向で話が進んでいる。関係者によると、社員に対する給料の遅配はここ3カ月続いていたという。美川は「給料がちゃんと支払われるなら、社長は別にAさんで私は構わない」と話していたというが、状況は変わらなかった。

 美川は65年にデビューし、66年に「柳ケ瀬ブルース」が大ヒットしたが、70年代後半から低迷。80年末にコロッケらが美川のものまねをし、蚊取り線香のCMも話題となったことから復活した。現事務所にはそのころに所属した。91年に17年ぶりに紅白に復帰し、以後、小林との衣装対決が目玉となり、09年まで19年連続26回出場した。

 A氏は本紙取材に対し、唯一の所属アーティストである美川の独立を認めた上で「営業(仕事)が入ってこない状況が続いていた。もし、他の方とおやりになるならどうぞとお話しした。ただ、美川本人が海外なので、正式な手続きはこれから」と話した。