熊本県阿蘇市の観光施設「阿蘇カドリー・ドミニオン」で、テレビ番組でも人気のチンパンジー「パンくん」(10歳、雄)が女性研修生(20)を襲い、顔や腰にけがをさせたことが7日、分かった。施設によると、パンくんは6日午後4時ごろ、ショーを終えて客席におじぎをした直後、舞台袖にいた研修生に飛び掛かり、顔や腰、足首にかみついた。研修生は熊本市内の病院にヘリコプターで搬送され、縫合手術を受けた。研修生は福岡市の専門学校の生徒で、3日から2週間の予定で研修していたという。

 広報担当者は「襲った原因は不明だが、チンパンジーは大人に近づくと、雌への優位性を示そうと攻撃的になることがある」と話した。パンくんは現在身長125センチ、体重40キロ。人間ではちょうど20歳にあたるといい、ここ数年で肩の筋肉が発達するなど大人の体形になってきていたという。本格的な繁殖準備に入るため、今年7月から来年4月までの予定で引退公演を行っていた。

 パンくんは04年から日本テレビ系「天才!志村どうぶつ園」に準レギュラーとして出演。同年からはショーにも登場し、同施設で1番の人気者として多くの観光客に親しまれていた。同局関係者は今後の番組出演について「事故の詳細を調査中だが、当面は見合わせたい」とし、降板が濃厚。施設によると、ショーの方もしばらく休止とし「パンくんを除いたメンバーで再開する道を探したい」としている。