サザンオールスターズが帰ってくる。5年ぶりのシングル「ピースとハイライト」を8月7日に発売し、8月から10年ぶりの野外スタジアムツアーを行うことが24日、分かった。08年8月の横浜・日産スタジアム公演を最後に無期限活動休止に入っていた。くしくも今年デビュー35周年。今日25日はデビュー日。充電期間を経て、メモリアルな夏に、ファンに約束していた復活を果たす。

 復活に向けて多くの言葉は必要なかった。桑田佳祐(57)は昨年末、信頼するスタッフらに「どうする?」などと再開時期について言葉少なに示唆していた。5年間の活動休止期間、メンバー5人全員が集まったのは、所属事務所アミューズのほかのアーティストらと、大震災の復興支援ソングのレコーディングを行った時だけ。それ以外は、自分の音楽性を高めようと、それぞれが思い思いに時間を過ごしていた。

 メンバーは5年の充電期間を経て、今年3月下旬、都内にあるビクタースタジオに集まった。数多くのサザンの名曲が誕生したスタジオで、新曲のレコーディングに取り掛かった。立ち会った関係者は「何の違和感もなく、いつものようにさっとレコーディングに入っていきました」。

 08年8月、日産スタジアムで4日間行った30周年記念公演を最後に、78年デビュー以来、初めて本格的な活動休止を宣言した。「サザンという看板に頼らないで視野を広げていこう」。メンバーで話し合い、前向きな気持ちで休止を決めた。

 キーボード原由子(56)は映画主題歌やソロアルバムを制作。朝日新聞で5年間コラムも連載し、5月に書籍化した。ベース関口和之(57)はウクレレにのめり込み、アルバム「UKULELE

 CARAVAN」を発売。パーカッション野沢秀行(58)は多くのミュージシャンの制作をサポートし、ドラムス松田弘(57)はライブイベントのプロデュースを手掛けた。桑田は食道がんを克服して精力的にソロ活動を実施。大震災後、歌とライブで被災地に思いを届け続けている。

 桑田は、休止前の日産スタジアム公演で「自信を持って新作をつくられるようになったらまた、あらためて皆さんの前に帰ってきます」と言った。充電を完了させた5人はファンとの約束をしっかりと守った。

 新曲「ピースとハイライト」は、平和への願いを込めている。多くの経験を積み重ねてきたサザンだからこそ伝えられるメッセージがある。新曲にはこんなフレーズも登場する。

 「希望の苗を植えていこうよ

 地上に愛を育てようよ」

 再出発する自分たちとさまざまなものを重ね合わせたような言葉が印象的だ。

 ライブ活動もド派手に再開する。8月10日の日産スタジアム公演を皮切りに、10年ぶりのスタジアムツアーを開催。“再会”を約束した会場でスタートし、震災復興の願いを込めて宮城で締めくくる。

 13年ぶりとなる地元、茅ケ崎公演も含まれている。日本の夏にはやっぱりサザンが必要だ。