サザンオールスターズの桑田佳祐(58)と所属事務所のアミューズは15日、桑田が昨年末のライブやNHK紅白歌合戦での中継で見せたパフォーマンスについて、謝罪した。「年越しライブ2014に関するお詫び」と題し、約800字に及ぶ書面を報道各社に送付。「反日」「非礼」などと一部で批判を受けたことを受け、「配慮が足りなかった」「不備があった」などと謝罪した。

 昨年末に横浜アリーナで行った4公演。桑田は昨秋に受章した紫綬褒章をファンに披露した。ステージ上で、白い手袋をはめたスタッフが、うやうやしく桑田の元に届けた。

 ところが、WOWOWで生放送された31日のライブでは、桑田がズボンの後ろポケットから取り出していた。関係者によると、これは桑田の元に届けるタイミングが、進行よりも早すぎたことが原因だという。紫綬褒章の披露は、観客と視聴者へのサプライズ演出のため、桑田は手に持っているわけにいかず、一時保管するためにポケットにしまっていたという。ただ、桑田はこの流れで、褒章のオークションを観客に呼びかけるパフォーマンスもしていた。ジョークで、演出の一環だったが、紫綬褒章は、天皇陛下から授与されるものであり、後に「非礼」「失礼だ」と一部から指摘を受けるに至った。

 これらを重くみた桑田とアミューズは、書面で、紫綬褒章公開などを「日頃の感謝の気持ちをお伝えする場面を作らせていただいた」と前置きしながらも、「取り扱いに不備があったため、不快な思いをされた方もいらっしゃった」「感謝の表現方法に十分な配慮が足りなかった」などと謝罪した。

 紅白の中継で登場した際、付けひげをしていたことも波紋を呼んだ。「お客さまに楽しんでいただければ」との思いだったというが、ネットなどでは、ドイツの独裁者ヒトラーを連想させるとの指摘もあった。安倍晋三首相をやゆしているとの見方も出た。

 今月11日には、都内の所属事務所に「桑田は反省せよ」などと書いた横断幕を持つ抗議者も現れ、警察官が出動する騒ぎになった。中国などの海外メディアも取り上げ始めた。桑田のライブパフォーマンスは、お色気エンターテインメントと社会問題を真摯(しんし)にとらえるさりげない演出で知られる。だが、今回ばかりは、広がりを見せる騒動を早急に沈静化させる必要があると判断し、異例の謝罪となったようだ。