戸崎騎手の「勝負勘」がさえた。ダッシュの鈍いジャスティンミラノを、手綱を押して出していく。7番手から向正面では逃げたパワーホールの2番手まで押し上げた。「流れは遅くなる」。ペースを読んだ積極的な騎乗が、勝利を呼び込んだといっていい。

前半の3ハロンは12秒8、12秒2、12秒3。ペースが上がらず好位につけたエコロヴァルツ、ジャンタルマンタルが折り合いに苦労する中、自身も少し掛かり気味ながら、無理に控えず上位人気の2頭を外からかわしていった。馬に逆らわず、少し手綱を譲る絶妙なタッチで、走りのリズムを整えた。

その後も12秒台中盤のラップが続き、1000メートル通過は62秒7の超スロー。この流れの中、行き脚のつかない馬を仕掛けてポジションを上げていくのは勇気がいる。引っ掛かって自滅する恐れがあるからだ。その不安を取り払ったのが、ジャスティンミラノの「操縦性」の良さ。

隊列が決まってからはスムーズな走りで、しっかり脚もたまった。テン乗りで実際の癖、性格をつかむのは返し馬だけ。その短い時間で「乗りやすい」という感触を得て、実戦に生かせるあたりは、さすがだ。

直線はゆっくりパワーホールをかわし、迫ってきたジャンタルマンタルを上がり32秒6の脚で突き放した。スローペースだけが勝因じゃない。鞍上の指示に従順で自在性もある。新たなクラシック候補が誕生した。

共同通信杯の口取りでジャスティンミラノが興奮して驚く友道師(右端)(撮影・丹羽敏通)
共同通信杯の口取りでジャスティンミラノが興奮して驚く友道師(右端)(撮影・丹羽敏通)