まだ大声援とはいきませんが、久しぶりに多くのファンが詰めかけた東京競馬場で白毛のアイドルホースが勝ちました。ソダシも待っていたのかもしれませんね。そんな気がしました。

芝のマイルなら本当に強い馬です。4戦4勝、G1は3勝目。豪華なメンバーを相手に2馬身差の完勝でした。さすがは“ソダシ世代”と表現された強い世代の桜花賞馬です。

ヴィクトリアMを制したソダシとガッツポーズする吉田隼騎手(撮影・柴田隆二)
ヴィクトリアMを制したソダシとガッツポーズする吉田隼騎手(撮影・柴田隆二)

好スタートを決めて、スッと好位につけました。初ダートだった2走前のチャンピオンズCでは押してハナに立ちましたが、今回は無理せず、それでいて掛かることもなく、自然と絶好位でした。ペースは前後半800メートルずつが46秒3-45秒9のミドル。6~7番手あたりにいないと勝ち負けできない流れでした。芝マイル戦でのセンスとペースが大きな勝因でしょう。

ヴィクトリアMを制したソダシ(中央)(撮影・柴田隆二)
ヴィクトリアMを制したソダシ(中央)(撮影・柴田隆二)

G1馬は毎年たくさん誕生しますが、競馬を知らない人でも知っている、いわゆるアイドルホース、スーパーホースは何年かに1頭です。そんな馬ですから、鞍上の吉田隼騎手は今、いい経験をしています。人気を背負って負けると、関係者は本当に落ち込みます。私も経験しましたが、どこかに隠れたい気持ちです。ですが、なぜ負けたのだろうと考えに考えて、いろんな工夫をして、成長していくのです。吉田隼騎手は数年前に拠点を美浦から栗東に移し、日々の調教に騎乗するなど信頼関係を築く努力を重ねてきました。それがソダシとの出会いにつながり、その鞍上で貴重な財産を得ているのです。今後の人馬にも期待します。

ヴィクトリアMを制し優勝レイをかけられたソダシ(撮影・丹羽敏通)
ヴィクトリアMを制し優勝レイをかけられたソダシ(撮影・丹羽敏通)

2着ファインルージュも4歳世代の実力馬です。完璧な折り合いでしたし、マイルが合っていますね。3着レシステンシアはマイルでもすんなりなら強い。5歳世代の意地でした。

1年ぶりのデアリングタクトは6着。成長分もあるとはいえ太めだったのは仕方のないところです。直線は内から見せ場がありましたし、無事に次走を迎えられれば本領発揮でしょう。1番人気レイパパレは発馬直後のつまずきが響きました。マイルは合っていると思います。(JRA元調教師)