<朝日杯FS>◇17日=阪神◇G1◇芝1600メートル◇2歳牡・牝◇出走17頭

川田騎手の冷静なエスコートが際立ちました。ジャンタルマンタルは序盤に若干、行きたがりました。ですが、ペースが上がったところで鞍上がスッと位置を下げ、我慢させます。好位で運んだ過去2戦より少し後ろになりましたが、インをじわじわと上昇し、前が開いた直線入り口では、もう追い出すだけでした。

4角出口で最内から抜け出しにかかるジャンタルマンタル(左端)(撮影・和賀正仁)
4角出口で最内から抜け出しにかかるジャンタルマンタル(左端)(撮影・和賀正仁)

そこでも名手は慌てません。そのまま内ラチ沿いを行くのではなく、馬場の真ん中あたりまで出てから追い出しました。良馬場まで回復したとはいえ、前日までの雨で内の馬場が多少悪いことも考慮し、万全を期した進路取りです。これだけ勝っている川田騎手だからこその“余裕”を感じた直線でした。

応えたジャンタルマンタルは本当にレースが上手です。馬格もありますし、父パレスマリスはベルモントS(ダート2400メートル)の勝ち馬ですから、距離ももちそうです。来年が楽しみになる勝利でした。

直線で抜け出し、朝日杯FSを制するジャンタルマンタル(撮影・和賀正仁)
直線で抜け出し、朝日杯FSを制するジャンタルマンタル(撮影・和賀正仁)

関西馬のJRA・G1勝利は久々ですね。どんどん世界に出る時代に関東だ、関西だというのも何ですが、東西が競い合うことで日本競馬が強くなってきたのも1つの事実です。私が調教師になった頃は東高西低の時代。今の栗東Eコースにわずかな傾斜をつけるなど、関東に追いつこうと工夫を重ねた時代でした。以降は長く、西高東低が続きましたが、今はまた逆に、関東が巻き返しています。この切磋琢磨(せっさたくま)からまた強い馬が出てくることを期待します。

2着エコロヴァルツは武豊騎手が思い切った競馬をしました。最内枠から一時は最後方まで下がり、最後は大外から上がり最速の脚を使いました。豊くんらしい、流れを読んだ競馬でした。馬は休み明けで14キロ増。余裕もあった体でこれだけ走るのですから、こちらも今後が楽しみです。

3着タガノエルピーダはただ1頭の牝馬で健闘しました。抽選除外だった前週の阪神JFに出ていてもいいところはあったでしょう。来年の桜花賞でも有力候補です。(JRA元調教師)

ジャンタルマンタルで朝日杯FSを制してファンに向かってポーズをとる川田騎手(撮影・白石智彦)
ジャンタルマンタルで朝日杯FSを制してファンに向かってポーズをとる川田騎手(撮影・白石智彦)