ルーキー今村聖奈騎手(18=寺島)が、小倉6R新馬戦(ダート1700メートル)を1番人気ヤマニンウルス(牡、斉藤崇)で勝利し、JRA27勝目をマーク。地方競馬での4勝と合わせて、JRA・G1騎乗に必要な31勝に到達した。

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差して勝てるルーキーだ。そこに今村騎手の技術とセンスを感じる。

昔も今も若手騎手からは「減量を生かして前で粘りたい」とよく聞く。それがセオリーだからだ。実際に最近5年で1年目に31勝以上を挙げた4人の騎手(19年斎藤、岩田望、菅原明、21年小沢)は勝利数の35~39%を「逃げ」で挙げた。一方で今村騎手はJRA27勝のうち「逃げ」が6勝(JRAのデータを参照)。その割合は22.2%と明らかに少ない。

もちろん逃げて勝つのも簡単ではないが、差して勝つには周囲の状況やペースの判断、仕掛けのタイミング、馬群のさばき方など、多くのスキルが求められる。それを早くも会得しつつあるのだろう。

研究熱心でもある。デビュー前の愛読書が心理学の本というのには意表を突かれた。「馬の心を分かるために読みました」。柔軟な思考法もまた強みの1つなのかもしれない。【中央競馬担当・大阪キャップ=太田尚樹】