桜の満開を前に遅咲きの大器が花開いた。2番人気のベラジオオペラ(牡4、上村)が首差で念願の頂点に立った。横山和生騎手(31)が攻めの先行策で殊勲へ導いた。
開業6年目の上村洋行調教師(50)はJRA・G1初制覇となった。
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勝負はゲートが開いてすぐだった。手綱を押されたベラジオオペラが馬群の前へ前へと躍り出る。横山和騎手に迷いはなかった。「操縦性のいい馬なので、思い切って先行した」。道中は2番手。近走の中団待機にとらわれず、攻めた。
かつて騎手だった上村師と狙いが一致した。レースの数時間前に顔を合わせ「どう乗りたい?」と聞かれた。前残りの馬場傾向を踏まえれば、最良の作戦は先行策。2人の意見は同じだったという。「ハナでも構わない」と背中を押され、腹をくくった。
直線を向き、左手でステッキを振るう。200メートル以上を残して先頭へ。内と外から後続に迫られる。ムチを右手に持ち替え、願いを込めて打ち下ろした。しのいでくれ! 鼻先のシャドーロールが真っ先にゴールを駆け抜けた。
「最高にうれしい。この子の強さをしっかり生かせた結果。ここで勝ちたい強い気持ちがあった。応えてくれた馬もすばらしい」
左手の人さし指を立てて「NO・1」を表した。初めてまたがったダービーは4着。走破タイム2分25秒2は勝ち馬と同じだった。100分の1秒単位での決着に「悔しさがずっと忘れられなかった」。右隣の勝者にわずか届かなかったフィニッシュが脳裏にこびりついたままだった。
開業6年目の上村師は延べ10頭目の出走でJRA・G1初制覇を果たした。目の病気を患い、40度目の挑戦(08年スプリンターズS=スリープレスナイト)で悲願をかなえた騎手時代に比べれば早いのかもしれない。「この馬でなんとかG1をと思っていた。勝ててよかった」と白い歯を見せた。
2年前のセールで自ら選んだ1頭で、当時から林田オーナーには「奥手ですね」と“予言”していた。春の大目標を達成して、次走はひとまず白紙。ただ、満開はこれからだ。「まだまだ成長する余地が残されている」。仁川の桜並木と同じく、つぼみが開き始めたばかりだ。【太田尚樹】
◆ベラジオオペラ ▽父 ロードカナロア▽母 エアルーティーン(ハービンジャー)▽牡4▽馬主 林田祥来▽調教師 上村洋行(栗東)▽生産者 社台ファーム(北海道千歳市)▽戦績 8戦5勝▽総獲得賞金 3億9007万8000円▽主な勝ち鞍 23年スプリングS(G2)、チャレンジC(G3)▽馬名の由来 冠名+歌劇

