読谷での中日-DeNAの練習試合に足を運んだ。キャンプ地を回ることの意義は、こうした2軍と1軍の対外試合に遭遇できることにある。DeNAは牧、桑原の主力が不在で、開幕メンバーとはほど遠いものの、開始直後の3連発で、一気に圧倒した。
ここで、私が一点集中したのは中日2軍の2年目福田と4年目味谷のバッテリーだった。3連発スタートはつらい展開だが、これも得難い経験だ。ここからどうするのかなと、厳しい目を向けた。
先発福田は、3連発を浴びてもゾーンに投げていた。物事には程度、段階がある。1軍投手を解説するのとは少しトーンを下げるが、どんな時でもゾーンに投げることは大切なことだ。
平常心を失いそうになり、四球を出すと、もう試合は壊れる。そんな空気感が漂ったが、必死にゾーンに投げ続けた。「ある意味すごいな」と。気づけば違う角度から考えていた。
3回を投げて10安打7失点、1四球。できるなら、最後まで無四球であってほしかった。そう思わせる何かを、この投手は秘めている。打ち込まれたことはネガティブ要素。ただし、それでも、強い気持ちでゾーンを攻めたことはポジティブに見えた。
そこで、捕手味谷に目を向けると「もったいない」のひと言に尽きる。1回だけ後ろにはじいたが、ブロッキングをしっかりやっていたし、盗塁も刺し、二塁打も放った。だが、試合をリードすること、投手をリードする意識が希薄だ。
自分よりも経験の浅い福田を、もっと引っ張ってやらないと。後ろから見ていると、打たれてサインを出して、また打たれてサインを出してとなっていた。「おい!」と言いたくなる。投手の状況を考えれば、低く、低くとジェスチャーをするなり、声に出して「初球から振ってくるよ」と警戒を伝えるなり、やることはたくさんあった。
「初球意識して」と声に出せば、投手への意識づけはもとより、打者は「厳しく来るのかな」と疑問が湧く。ちょっとした迷いを与え、考えさせることで、打者の勢いをそぐ。そのために、捕手は声を習慣として、指示を出し続ける。
その先に、投手は立ち直ったり、ピンチを切り抜けたりして、本来のリズムを取り戻すのだ。
福田も味谷も、もっと良くなる、できるようになるんだけどなと、一方的に打ち込まれる展開の中で、思わずにいられなかった。(日刊スポーツ評論家)




