DeNAの高卒3年目の左腕・武田陸玖投手(20=山形中央)の対左打者へのピッチングに課題を見た。
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7回途中まで投げて3安打4失点。数字を見ればそれほど悪くはない。打たれた内容を見ても悪いところが特に目立ったわけでもない。ただ、私は見ていて非常に気になった。左腕の武田は、左打者への内容が鍵を握る。
3安打されているが、左打者に2本打たれている。左打者から3三振を奪っているものの、打たれた中身をよく見ると、さらに細かい部分を大切にしなければ、今後も左打者に苦労する可能性がある。そのポイントになるのが、逆球だ。
特に私が気になったのが、左打者のアウトコースを狙ったボールが内角に行った逆球が、私が見た中で5度あった。そのうち4度が追い込んでから。いずれもファウルだったが、これはたまたま厳しいところに抜けたために、長打にならなかっただけで、幸運だったということだ。
コースで大別すると、逆球には2種類ある。外角のサインに対して抜けて内角に行くのと、内角のサインに対して引っかけて外角に外れるケースだ。同じ逆球でも、私は内角に抜けてしまうボールに対して、より注意深くあってほしいと思う。
1軍であろうと、2軍であろうと、打者は抜けたボールが逆球だったのか、意図した内角球だったのか、その見分けはつかない。むしろ、抜けたボールの方が、荒れた印象が強くなるため、打者からすれば恐怖心は増す。
従って打ち取ったとしても、それはたまたま厳しいところへ抜けて内角球になったからに過ぎない。言うまでもないが、抜けたボールは、制球したボールとはまるで異なる。外角を狙ったボールが抜けてど真ん中に入るか、大きく抜けて厳しい内角球になるか、そこは投手にはコントロールできない。
私はキャッチャーの構えたところを確認してから投球を見ているため、この逆球には「ウッ」と反応してしまう。それが、外角を狙った逆球が内角に入ると、ヒヤッとする。5度、いずれもファウルになったのだが、もしかすると1軍の打者ならば、仕留められていたかもしれない。
私も現役時代に投球がどうしても抜けてしまい、試合の中では修正できない場面が何度もあった。しかし、抜けることを怖がり真っすぐを配球の選択肢から外すことはできなかった。ある程度抜けることを予測しながら、ひたすら甘く入らないことを祈りつつ。そんな配球にならざるを得なかった。大きく抜ければ、厳しい、体を起こす内角球にもなりうるし、中途半端に抜ければ棒球にもなる。
いわゆる制球ミスというのは、外角いっぱいを狙ったボールがボール1個分甘く入ってしまうぐらいのコントロールミス。一方の抜けたボールというのは、およそボール5、6個分も大きく外れる軌道。ミスという観点では同じだが、即座に修正できないという意味で逆球は難敵だ。
私は武田が1軍で活躍することを念頭に見ているから、どうしても対左打者へのピッチングに関心が向く。そして、右投手は右打者の、左投手は左打者の、いずれも内角をいかに厳しく攻めるかが、生命線だと考えているため、武田の対左打者内角への精度には不安が残った。
右打者への内角はある程度安定して突くことができていた。そして外へのチェンジアップが有効で、計算したピッチングで打ち取っていた。
だからこそ、余計に左打者への課題が鮮明になった感が強い。対右打者、左打者を含め、トータルで制球に安定感が出てくれば、1軍の先発、あるいは中継ぎとしても十分に通用するだろう。(日刊スポーツ評論家)





