北越(新潟2位)が優勝候補を相手に奮闘した。敦賀気比(福井2位)の前に1-6で敗退。ただ、エースの左腕江村伊吹(3年)は8回10安打6失点ながら、自責点は3と粘りのピッチング。打線もプロ注目の本格派、山崎颯一郎(3年)から7安打を放つなどしぶとさを発揮した。夏に向けて収穫を手にした。

 負けた悔しさは隠しきれない。それでも、収穫は手にした。「すごい、という感じはしなかった」と、江村は敦賀気比打線の印象を素直に口にした。

 3回までに5安打を許して3点を失った。ただ、そこから修正した。「変化球を低めに。ストレートはしっかり腕を振る」。そう自分に言い聞かせた中盤、4回から6回は無失点。3者凡退は6回の1度だけで、それ以外は走者を背負った。ただ、連続で四死球を出した場面はなかった。長打も2本にとどめた。

 失点は6だが、自責点は3。ミスで出した走者をかえされた。それも「自分が先頭打者を簡単に出してしまったせい」と受け止める。「完敗です」と、5点差の敗北に小島清監督(41)はそう言った。一方で「江村のボールは、バチンと捉えられたものは少なかった」と、エースの投じた140球の内容を評価した。

 春季県大会決勝の新潟明訓戦、江村は10-3の7回から救援のマウンドに立ったが、10安打8失点でサヨナラ負けした。その後、連日70球以上の投げ込みを行ってきた。「チェンジアップで凡打に打ち取ることもできた」。北信越の強敵を相手に努力の成果を確認した。

 もちろん満足してはいない。「まだまだです。もっと球速を上げたい。そうすれば自然と下半身も鍛えられる。変化球も生きる」。見つけたテーマは最速138キロから、さらに球速アップすることだ。【斎藤慎一郎】