パ・リーグ首位打者に立つソフトバンク今宮健太内野手(27)の7号同点弾をきっかけに苦手ロッテに逆転勝ちし、チームは連敗を3で止めた。

楽天戦の2戦連続サヨナラ負けから、前日(10日)は井口監督率いるロッテに大敗。今季、プロ10年目にして打撃開眼した「3番打者」が、柳田、中村晃らの故障禍に苦しむ打線をしっかりけん引する。

    ◇    ◇    ◇

今宮が、一振りで空気を変えた。1点を追う1回裏2死走者なし。2球で追い込まれた。3球目の141キロ直球。思い切り振り抜いた。打球は、右翼テラス席へ飛び込む同点の7号ソロとなった。「逆方向への意識はなかった。(相手先発のボルシンガーは)いやだなあ、と思いながら振った。ホームランはたまたまだけど、しっかりスイングができた」。続くデスパイネも右翼スタンドへ7号ソロを運び、逆転に成功した。

「連敗を止められたのが第一」と今宮は白い歯を見せたが、残り3打席は凡退。1発を放ったとはいえ、2打席目以降は三振、一ゴロに打ち取られ、ボルシンガーには打撃感覚が合わなかった。「次の対戦はしっかり考えていきたい」。反省も忘れなかった。

苦手投手の克服を誓うのは、好調の裏返しでもある。打率3割4分。リーグ首位打者を走る。レギュラーに定着した12年から昨年まで自身の最高打率は、昨年の2割6分6厘。開幕から快調な打撃をさらに持続させるために、尻込みしてはいられない。プロ10年目にしての「打撃開眼」は、誰よりも今宮自身が感じている。一本足のように垂直に左足を上げながら踏み込んでいくスタイルにたどり着くまで、試行錯誤の連続。右手リストの強さが災いし、過去9年は右手でバットをこねる動作が邪魔をしてきた。「おくり人」と呼ばれ、2番打者で犠打の男が、今は豪打ホークスの「3番」に座り続ける。「僕は柳田さんや(中村)晃さんみたいにはなれない。チャンスを広げる役割でやっていきたい」。リーグV奪回へ、背番号「6」が快音を響かせる。【佐竹英治】