日刊スポーツ評論家陣が語る「野球塾」は、85年の阪神日本一守護神で、元投手コーチの中西清起氏(57)です。

得点力不足解消へ新外国人ソラーテの爆発力に期待しつつ、大逆襲にはカード初戦を取ることが重要と説いた。【取材・構成=寺尾博和編集委員】

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阪神が後半戦を過ぎたここにきて、新外国人ソラーテを緊急獲得した。マルテに見切りをつけたということだろうが、補強に手をつけた時期については、遅きに失した感はぬぐえない。

チーム防御率3・42がリーグトップで下位に沈んでいるのは、打てないことに尽きる。その意味でもソラーテにはよほど打ってもらわないと。触れ込みの長打力に期待したいものだ。

ただ、大山は「4番」から外せないだろう。ソラーテが本塁打を量産すれば別だが、ここまで我慢しながら起用してきたわけで、将来を見込んだ方針がブレたと言われかねないからね。

借金3を抱えたチームは長期ロードに出るまでの3カードに何としても勝ち越したい。そのためには絶対にカードの“頭”をとることだ。それができれば勝ち越し、3連勝もあり得る。

DeNA、巨人、中日と続くカードは、どこも打てるチームばかりで容易ではない。一方の阪神は連打、連打は望めそうにない。だからリスクの高い作戦も必要になってくる。

現状、大量点を取るのは難しく、2、3点を奪うのがやっとだ。阪神は投手力では勝負ができる。どのチームも夏場は打ってくるから、4対3ぐらいのゲームをどれだけできるか…。

ベテランの福留が復調してくるのは心強い。でも代わりに出番が回ってきた高山の状態が悪くなかったので、ここは編成的に悩ましいところだね。

投手は21日のヤクルト戦で、先発の西が7回を投げ切り、ジョンソン、ドリスで逃げ切ったような試合運びが理想だ。ここからは中継ぎを何枚も注ぎ込むのを避けて、うまいやりくりで勝ちを拾いたい。

いずれにしてもソラーテのデビューは注目だ。どんどんホームランを打ってほしいよね。チームとしても早く勝率5割に戻すことで初めて、上を意識した戦いになる。