天国の野村監督へ-。楽天とヤクルトが15日、沖縄・金武町で練習試合を行った。両軍で監督を務めた野村克也氏が11日に急逝。試合前には両軍が1分間の黙とうをささげ、ユニホームに喪章をつけてプレーした。楽天の三木肇監督(42)が手堅い野球を実践すれば、ヤクルト高津臣吾監督(51)は秋の大舞台での対戦へ思いをはせた。名将の薫陶を受けた愛弟子たちが、全力で野球に取り組んだ。

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スタジアムが静寂に包まれた。試合前に両軍がベンチ前に整列し、黙とうをささげた。半旗を掲げ、ユニホームには喪章。三木監督は「両チームとも監督としていろんなものを残していただいた方。はつらつと、元気よく、楽しく、しっかりと声を出してやる。野村監督に教わったことを胸にやっていきたい」と思いを心に刻み、試合に臨んだ。

息子の克則作戦コーチもチームに再合流した。「昨日、お見送りをさせていただいた。もし父がいたら『こんなところでゆっくりしてるな。早くチームに戻ってしっかりとやれ』と言われる」。偶然にも縁ある両軍の対戦を「今日がヤクルト戦というのも父が『戻れ』と言っているのかなと」と受け止めた。3月16日のお別れ会まではチームに同行。「気持ちはすぐに切り替えさせてくれるとは思いませんが、野球がそうさせてくれるし、前向きにさせてくれる。これも父が残してくれた財産。恩返しできるようにしたい」と、グラウンドに集中する。

戦術、文化、人材など、野村氏は有形無形の財産を球界に残した。三木監督は「心を込めて、感謝の思いで試合をさせてもらった。空から見てくれていると思う」という。この日の試合の中でもその教えは点在した。2点リードの5回無死一、二塁。犠打で1死二、三塁とし、中犠飛で追加点を挙げた。手堅く1点をもぎとり「今までも野村監督だったらどうするんだろうと考えたことは何度もあった。いろんなことにトライして幅広いチームになりたい」。曇天の上空からの“ぼやき”に耳を澄ませた。【為田聡史】