今季限りでの現役引退を決めた阪神中田賢一投手(39)が29日、兵庫・西宮市内のホテルで引退会見を行った。

会見場には、黒いスーツに茶色のネクタイ姿で登場。「本当にやり切ったなという思いが一番で17年間、幸せだったなと思っています」。終始晴れやかな表情で話していたが、プロ3年目の07年に亡くなった父治英さんの話になると、言葉を詰まらせた。「ずっと父と二人三脚でやってきたので…。喜んでくれていると思います」。号泣しながら言葉を紡いだ。

最初に決断を伝えたのは、妻であるフリーアナウンサーの角野友紀(34)だった。「普通に明るく、お疲れさまと言ってもらいました」。矢野監督には「ずっと2軍でしたけど、若い子にいい影響を、必ず与えてくれたというふうにおっしゃっていただきました」と、ねぎらいの言葉を掛けられた。

「暴れ馬」の異名を取った最速153キロの直球を武器に、プロ17年間で通算100勝。中日、ソフトバンクでは計6度のリーグ制覇、6度の日本一に貢献した。「本当にファンの皆さんのご声援でマウンドで助けられたことが何試合というか、何十試合あったかなと思っています。走者をためてハラハラドキドキされるタイプの投手だったので、そういう思いをさせてしまったことを、この場を借りておわびしたいと思います。でも本当に温かい声援を頂いたので本当に感謝したいと思います」。ファンへのメッセージにも人柄の良さがにじんだ。

会見の前には鳴尾浜で、最後のブルペン投球。桑原やチェン、岩田稔らが見守る中で1球1球を投げ込み、最後は拍手を送られた。今後については「大好きな野球に携わっていく仕事ができたらと考えています」と、晴れやかな表情で語った。