レインメーカーが大阪に金の雨を降らせた。オカダ・カズチカ(27)が、1年2カ月ぶりにIWGPヘビー級王座に返り咲いた。2度目の防衛を目指すAJスタイルズと21年ぶり開催の大阪城ホール大会のメーンで対戦。超満員の大声援を受け、タイトルで過去3戦全敗の相手を、レインメーカーで眠らせた。よみがえった新日本の若きエースが、新日本を世界一の団体に導くと宣言した。

 最後までゆくえのわからない戦いを、オカダがレインメーカー(短距離式ラリアット)で終わらせた。ツームストン・パイルドライバーで動きを止め、背後からAJスタイルズを捕まえると、腕を引き寄せながら右腕を一閃(いっせん)。王者を空中で1回転させ、そのまま押さえ込んで3カウントを聞いた。

 21年ぶりの大阪城ホール大会で堂々のメーンを張り、最高の試合で大会を締めた。21年前、新日本の全盛期といわれた時代、しかも橋本真也-蝶野正洋という黄金カードでもできなかったチケット完売。まさに、レインメーカーが大阪に金の雨を降らせた。

 試合後オカダはマイクを握り「オレが世界の新日本にしてやるからな。新日本に、いやプロレス界に金の雨が降るぞ!」と絶叫した。過去、タイトル戦で3戦全敗だったAJを破り、1・4東京ドームで棚橋の王座に挑戦して惨敗した屈辱を、ようやく晴らした。棚橋に敗れた際には、引き揚げる花道で涙を流し「IWGPは遠いぞ!」と痛烈な言葉を浴びせられた。敗戦のショックからファレに3連敗するなど、態勢を立て直すのに半年を要した。

 「プロレスのことばかり考えていました。なかなかうまくいかない中、小さなチャンスを1つずつ生かすことを考えてきた」とオカダはいう。1・4東京ドームで、棚橋に敗れたことで「何もかもうまくいきすぎていた」という自分の足元を見つめ直すことから始めた。

 昨年5月に1度は途絶えた野望に、再びベルトを持って突き進む。「大会場を自分1人の力で満員にする。そして新日本をマディソン・スクエアガーデンに連れて行く」。若くしてメキシコ修行に出て垣間見た世界が、オカダの到達点だ。マネジャーの外道がその意をくむように高々と宣言した。「アントニオ猪木も長州力も、誰もいったことのないステージにレインメーカーが連れていってくれるぞ」。【桝田朗】