WBO世界フライ級タイトルマッチの調印式、前日計量が15日、名古屋市内で行われ、世界最速タイ3階級覇者の王者田中恒成(23=畑中)と元WBA&IBF世界ライトフライ級統一王者の挑戦者田口良一(32=ワタナベ)がともにリミットの50・8キロでパスした。17年大みそかに対戦するはずが、田中の両目負傷で流れたカードが実現。「平成最後の大勝負」で王者が初防衛を予告した。

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勝つ自信はもちろん、誰もが見ほれる試合をする絶対の自信がある。田中は調印式で断言した。「平成最後の大勝負と言って恥ずかしくない、ふさわしい試合になると思います」。

強者と戦いたい世界3階級王者にとって、田口戦は痛恨の忘れものだった。WBOライトフライ級王者だった17年、当時「軽量級の名王者」と呼ばれたWBA同級王者田口に統一戦を呼びかけ、同年大みそかに対戦する予定だった。ところが、9月の2度目の防衛戦で両目眼窩(がんか)底を骨折し、プラン消滅。それが階級を上げて実現する。

「今更だけど、田口選手は最高のライバル。(実現まで)いろんな思い、たくさんのことがあったけど、やるべくしてやる、と思っている。普通の試合で終わらせるつもりはない、というかならないです」。

昨年は“モンスター”WBAバンタム級王者井上尚弥の“70秒KO”を差し置き、今のベルトを奪った9月の木村翔戦で年間最高試合賞を獲得。今年も田口戦で同賞を-。「こんなおもしろいカードで、つまらない試合を見せるつもりはない」。恋い焦がれた相手を倒し、忘れものを手にするつもりだ。【加藤裕一】

◆平成の日本ジム所属選手同士による世界戦 今回で47戦目。94年(平6)12月のWBCバンタム級統一王座決定戦(王者薬師寺保栄が暫定王者辰吉丈一郎に判定勝ち)や、12年(平24)6月のWBC&WBAミニマム級王座統一戦(WBC王者井岡一翔がWBA王者八重樫東に判定勝ち)など、王者同士の統一戦6試合を除く40試合中32試合で王者が防衛している。