プロボクシングWBA世界スーパーフライ級6位の井岡一翔(34=志成)の世界戦の前日計量で、体重超過で王座を剥奪された前同級王者ジョシュア・フランコ(27=米国)が、24日午前10時の当日計量を58・0キロでクリアして試合が実施されることが決まった。

フランコは23日の前日計量1回目でリミット(52・1キロ)を3・1キロも超過、約1時間50分後の2回目計量も55・0キロの2・9キロ超過で失格となり、王座を剥奪されたが、その後のルールミーティングで試合当日午前10時の計量で58・97キロ以下であれば、試合が行われることで井岡陣営が合意していた。

国内で行われた世界戦で、大幅な体重超過で失格となり、王座を剥奪された前王者が、試合で圧勝した例は少なくない。試合で勝っても王者にはなれず、モチベーションの維持が難しいとされる一方、最も苦しいといわれる最終段階の減量を放棄したことで、肉体的なダメージは少なく、体力にも余裕を持った状態で試合に臨めるという大きなメリットがある。

日本人の印象に強く残っているのが、18年3月1日に東京・両国国技館で行われたWBC世界バンタム級タイトルマッチ。王者ルイス・ネリ(メキシコ)が前日計量1回目55・8キロで、リミット(53・5キロ)を2・3キロも超過。2回目も54・8キロで1キロ落とすのが精いっぱいで王座を剥奪された。しかし、試合は予定通り行われ、体力で勝るネリは、前王者で同級1位山中慎介(帝拳)を圧倒して、2回TKO勝ちを収めた。山中はこの試合を最後に引退している。

時代はさかのぼるが、98年9月22日に東京・代々木第2体育館で行われたWBA世界フェザー級タイトルマッチでは、王者フレディ・ノーウッド(米国)が前日計量でリミットを800グラム超過。その後の減量を放棄して王座を剥奪されたが、試合では余力のある前王者がパワフルなボクシングで、挑戦者の松本好二(ヨネクラ)を圧倒して10回TKO勝ち。なお松本もこの試合を最後に引退を表明している。

06年10月9日に東京・後楽園ホールで行われたWBC世界ライトフライ級暫定タイトルマッチでは、前日計量で暫定王者ワンディ・シンワンチャー(タイ)がリミットを1・2キロも超過して失格となり、王座を剥奪されたが、試合では挑戦者の嘉陽宗嗣(白井・具志堅スポーツ)に判定勝ちを収めている。

今回、フランコに当日計量で契約体重として設定された58・97キロは4階級上のスーパーフェザー級のリミットで、スーパーフライ級のリミットより約7キロも重い。しかも、最終段階で減量を放棄しているため体力的にも余力がある。減量に成功して万全のコンディションで臨むとはいえ、井岡にとってこれは大きなハンディになりそうだ。