右前腕のない隻腕ムエタイ戦士、ジェイク・ピーコック(30=カナダ/英国)が、沖縄・うるま市出身の新城絋平(26=Team First Star)とバンタム級ムエタイで対戦。ともにONEデビュー戦だったが、ピーコックが判定3-0で勝利した。

“ザ・ワン”の異名を取るピーコックは、羊膜索症候群(妊娠早期の羊膜破裂に続く羊膜索=ひも状のもの、の形成により、それが絡まった四肢などにくびれや欠損等の異常をきたす疾患)で、右肘から先5センチくらいの位置で腕が切断されたような状態で生まれてきた。

しかしハンディキャップをものともせず、接近戦では欠損した右腕も使って激しい攻撃を仕掛け、短い右腕でガードもする。さらにしなやかなで多彩な蹴りで新城をふらつかせる場面もあり、最初から最後まで試合を優位に進めた。

ピーコックは首相撲も巧みにこなし、防戦一方だった新城に大差判定で勝利。試合後には「最高だった。タイの人々の温かさは本当に素晴らしい。アメージングなタイの人々、タイという国、そしてONEチャンピオンシップ、愛してます。この素晴らしい大会に呼んでくれて感謝します」と笑顔で話し、最後は夫人をはじめとする家族への感謝の言葉で締めくくった。

ピーコックの父親は、サッカーのMFやFWとしてイングランドのクイーンズパーク・レンジャーズやチェルシー、ニューカッスルなどで18年間プレーしたギャビン・ピーコック。息子ジェイクは父親ゆずりの運動能力や闘争心でルンピニースタジアムのファンを魅了した。