先日、外国人が多く暮らす都内の某多国籍タウンを歩行移動していた際、風が吹きすさぶ中、紙袋とキャリーバッグを持ったアジア系とみられる小柄な若い女性が、路上で寒そうな表情を浮かべつつ立ち続けていたのを目撃。

横を通ると、ニット帽を被り、マスクをしたその女性が「あのー、すいません」などと片言の日本語で声を掛けてきた。何ごとかと立ち止まると、その女性は「これ、見てください」と、直筆メッセージが記された紙を示してきたのだ。そこには黒いペンで「私はコロナで生活苦です。お菓子を買って助けてくれませんか」という趣旨(※正確な文言は忘却)の文章が日本語で書かれていた。

聞くと、女性は20代半ばでフィリピン出身とのこと。本人いわく、1年以上前に日本に来て日本語学校に通っていたが、その後コロナ禍になり生活が苦しくなった。そのため路上で菓子を売って生活費を稼いでいる…という。

紙袋の中を見ると、そこには袋に入った菓子とみられるものが数個入っており、女性は「これ、1個、500円。チョコレート(菓子)です」などと何度も購入を持ち掛けてきた。

そういえば、路上で突然、見知らぬ女性から菓子を売られたのは2回目で、前回は昨年2月。同月、その件を当日誌にも記している。しかしその時の女性は日本人で、所属会社の研修的な意味合いで菓子を売っていたという感じのことを話していたと記憶しており、コロナ禍に関連した「生活苦」を理由に、菓子を売ってきた今回のフィリピン出身女性とは目的が異なっていた。

緊急事態宣言延長の可能性も出る中、繁華街にコロナ禍前の活気が戻るのはいつになるのか(緊急事態宣言発令前に撮影。写真と本文に直接的関係はありません)
緊急事態宣言延長の可能性も出る中、繁華街にコロナ禍前の活気が戻るのはいつになるのか(緊急事態宣言発令前に撮影。写真と本文に直接的関係はありません)

ただ、SNSなどを見てみると昨年から、アジア系の外国人女性からほぼ同様のパターンで声掛けされ、菓子を売られたとの体験談が全国各地で複数、記されていた。

また昨秋には、類似した事案についてフジテレビ系報道番組で「全国に出没“ナゾの菓子売り” 組織的に活動か」などのタイトルで独自ニュースとして報じられていたようだった(※放送当時は気づかなかったが、YouTubeチャンネル『FNNプライムオンライン』を視聴して判明)。

今回筆者が声を突然掛けられた「フィリピン女性」がSNSや同報道で取り上げられた外国人女性たちと関係しているのかどうかは定かではないが、コロナ禍が続く中、今までになかったさまざまなことが路上で起きているようだ。

【文化社会部・Hデスク】