刑務所に長~い行列ができています。刑務所内の見学や、刑務所で作られた雑貨や日用品、パンなど購入するための行列です。全国の刑務所で作られた雑貨など約1500品目が販売される「第31回関西矯正展」が10、11両日、大阪刑務所(堺市堺区田出井町)で開催中です。各地の刑務所や矯正管区などが開催している「矯正展」ですが、最近、人気を呼んでいます。

大阪刑務所の塀沿いに長蛇の列です。関西矯正展で午前と午後の2回に分けて行われる刑務所内の見学は目玉企画の1つ。普段はベールに包まれた内部の様子を見学しようと、多くの人が受付に並びます。

作業所、面会室、受刑者が利用する風呂場などを公開。受刑者の刑務作業など、社会復帰に向けた取り組みへの理解を広げることが目的です。大阪刑務所の広報担当者は「地元の方や遠方の方も含めて年々、参加していただいている方が増えています。可能な限り公開することで刑務所のことを知っていただき、受刑者に対する理解につなげたい」と話します。

刑務所内を見学した50代の男性は「描いていたイメージとは違い、内部は整理整頓されていた」。

関西矯正展は毎年秋に開催し、16年は約3万1500人、昨年は約3万2500人が訪れました。6年前の約1万7300人と比べると、2倍近くになっています。広報担当者によると、今年は「初日に案内パンフレット約3000枚を用意していましたが、すべてなくなってしまいました。昨年より多くの人出になりそうです」。

大阪だけではなく、全国でも「矯正展」の人気は高まっています。法務省の担当者によると、本年度は全国各地で矯正展は73回の開催が予定されているそうです。年々、来場者は増加を続け、08年度の全国各地の来場者の合計は約25万1300人でしたが、昨年度は33万5600人。来場者は約10年で約8万4300人も増えています。

大阪刑務所の広報担当者は人気の要因の1つとして「質の高い製品が安く手に入ることではないでしょうか」と話します。関西矯正展では大阪刑務所だけではなく、全国各地の刑務所のイチ押し製品が販売され、家具などは「仕事が丁寧」「作りがしっかりとしている」と評判を呼んでいます。

多くの剣道愛好家の支持を集める熊本刑務所の剣道防具も展示されています。「剣道の防具をつくるのは高い技術が必要です」(広報担当者)。同刑務所は重罪による長期受刑者が多く、高い技術習得に必要とされる「時間」があるといいます。製品から各刑務所の「特色」を知ることもできます。

「塀の中」の人気メニューも味わうことができます。大阪刑務所のレシピを再現した「プリズンカレー」。牛肉、ジャガイモなどの具に、麦が3割混じったご飯は400円です。からあげがメインの「監獄弁当」(500円)。

せっかくの機会ですからプリズンカレーの味わってみました。味はとってもシンプル。ただ具はこぶりでした。少し物足りなく感じたのは、広報担当者によると「専属の栄養士が、しっかりとカロリー計算しています。だいたい服役中に平均体重になります」。なるほど…。プリズンカレーに続いて、監獄弁当との思いを断ち切りました。【松浦隆司】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミヘキタヘ」)


大阪刑務所でつくられた「パン」の販売にも行列(撮影・松浦隆司)
大阪刑務所でつくられた「パン」の販売にも行列(撮影・松浦隆司)
大阪刑務所の「プリズンカレー」(撮影・松浦隆司)
大阪刑務所の「プリズンカレー」(撮影・松浦隆司)