俳優安田顕(45)主演の映画「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」(大森立嗣監督 22日より公開中)の公開記念舞台あいさつが23日、東京・TOHOシネマズ日比谷で行われた。

13年連載スタートのエッセー漫画が原作。作者の宮川サトシ氏が実際に体験した母との最期の日々から葬儀、その後の生活の日々を母への愛情をふんだんにちりばめて描き話題となった。

この日は、安田の母親役の倍賞美津子(72)、恋人役の松下奈緒(34)、大森監督も登壇。

安田は「こんな立派な映画館だとは思っていなかった。もっとこぢんまりしてると思った」と、スクリーンの大きさに驚いた様子。そして、「ぼくの奥さんが(昨日の映画公開)初日を見に行ったんです。『見てよかったよ。あなた、いろんなところで宣伝してたよね。でも、あなたのPRコメントはちょっと弱い。あなたは、この映画を見た時、温かくて前向きな気持ちになれるというけど、それだけじゃ弱いって』言われたんです。それで、ぼくは考えたんです。”ちょっと背中を押してくれる、自然と前に進むことができる“そんな映画だと思うんですよね」と妻からダメ出しがあったことと、新たなPRコメントを披露した。

さらに、遺骨を食べたいほどに母親を愛しているという作品タイトルにちなみ、母親との大切なエピソードについて聞かれ、安田は「僕の母親は、僕の目の前でカレーをこぼした瞬間に『私じゃない』と言ってしまう、そういう母なんです。両親の離婚や、中学校2年から新聞配達をしていたり、たくさんつらいことがあって『周囲から偏見の目で見られたことが一番悔しかった』と言っていました。逆に、『一番うれしかったことは何?』と聞いたら、『お兄ちゃんとあんたを生んだことだよ』と言ってくれました。そんな母が、僕の目の前でカレーをこぼした瞬間に『私じゃない』と、こぼしたのは自分だとわかっているのに、条件反射的に言ってしまった母を通して、いろんなことが見えてきて…。その時にぼくはこの方から生まれてよかったなと思いました」と母親への深い愛情と思い出を披露した。

安田は最後に「こういう作品に携われたことがうれしい。そして、倍賞美津子さんを母親として過ごせたことがうれしかった。もし、よろしければ周囲の方に宣伝していただければ」と語り、舞台あいさつをしめくくった。