新型コロナウイルスの感染拡大による影響で中断を余儀なくされたNHK大河ドラマ「麒麟がくる」などに続き、今度は大みそかの「第71回紅白歌合戦」の通常開催を心配する声が高まっている。

緊急事態宣言は先日、新規感染者数が少ない39県で解除された。ただ、全面解禁ではなく「感染観察」とされた39県でのイベントについて、政府の専門家会議は、参加者の上限を100人、参加者は収容人数の半分を目安とすることを提案している。

もし、東京都が「感染観察」になっても、2000人以上を収容するNHKホールでのイベント開催はすぐには厳しそうだ。同局の音楽イベントで“夏の紅白”と呼ばれる「思い出のメロディー」についても、同局関係者は「最近は生放送ではなく収録だが、それでも観客を集めての歌謡ショーというスタイルの続行は、今年の夏は厳しい」と話す。ちなみに「感染観察」の茨城県では、8月に予定していた野外音楽フェス「ROCK IN JAPAN FESTIVAL2020」を中止している。

「思い出-」以上に、紅白の現場はまさに密閉、密集、密接の「3密」になっている。出場歌手以外にもバンドやダンサーなどステージに立つ人だけで数百人に上る。さらに、ディレクターだけでも複数のチームを組み、これらも数百人に上っている。

平成の中ごろまで、紅白はNHKホール内での完結が番組の柱だった。中継での出演だと、ホールの熱気が冷めるというのがその理由。だが、最近は、大物歌手を中心に中継はもちろん、NHK内の別スタジオからの出演や録画も取り入れている。それだけに、コロナ禍の今年は、リモートを駆使した例年とは違う新しい紅白となる可能性が高そうだ。