男子61キロ級は田中光哉(27=ブリストル・マイヤーズスクイブ)が優勝し、代表に内定した。

3人総当たり戦で阿渡健太(33=日揮ホールディングス)に48-24、伊藤力(34=セールスフォース・ドットコム)に38-15で連勝した。

「このままでは体格的に世界で戦えないと思い、決断しました」。田中は晴れやかな表情で思い切った方向転換を振り返った。約3年の競技歴の大半を75キロ級で戦ってきたが、国内外のライバルに体力負けして結果が出なかった。そこで昨年3月に61キロ級転向を決意。13キロの減量を断行して同6月の米国の大会から1階級下で戦ってきた。

176センチの長身を生かした左右の蹴りで得点を重ね、相手の反撃を右の前蹴りでかわして2試合とも快勝し、「プレッシャーを感じていたが、練習してきた前足のリーチを生かす戦いができました」。大学までは剣道やサッカーに親しみ、東京都障がい者スポーツ協会勤務時代はパラスポーツに体験会や普及活動に携わった。そして「自分が選手になってもいいんじゃないか…」と思って始めたテコンドーで東京パラリンピック代表に内定した。「金メダルを取りたい。そして、テコンドーの面白さを伝えたい」。田中は大勢の応援団の祝福を受け、大きな目標を掲げた。

◆田中光哉(たなか・みつや)1992年(平4)7月22日、福岡県久留米市生まれ。先天的に両肘から先に障がいがある。競技を始めてから1年で国際大会優勝。75キロ級で昨年の世界選手権5位、アジア選手権銅メダル。