勝ち運の宿る男が復調気配だ。柏FW武藤雄樹(33)が、10日のアウェー鳥栖戦でJ1通算50得点を達成した。J1史上98人目。33歳8カ月3日での到達は日本選手で7番目の年長到達となった。その決定力と勝負強さはまだまだ健在。昨季は無得点に終わり、今季も右膝のけがで出遅れたが、戦列復帰後は5戦3発と波に乗る。
前半19分、味方のスルーパスに抜け出し、ワントラップから右足で蹴り込んだ。「一番前にいる以上、ゴールで貢献したかった」と節目のゴールでチームに4試合ぶりの勝ち点3をもたらした。6日の鹿島戦(1-2)で「不敗神話」は38試合でストップしたが、武藤の得点試合は37勝5分け3敗の好成績。勝率(白星率)は82.2%に達する。
J1通算50ゴール達成者の到達時のチーム成績を見ると、武藤の3敗での達成はFWカズ(三浦知良=V川崎)の1敗、FWバレー(G大阪など)の2敗に次いで3位タイ。磐田の黄金期にゴールを量産したFW高原直泰らに並ぶ。延長Vゴール、PK戦があった時代も含まれるため同一基準ではないが、それでも武藤のゴールがチームの勝ち点に直結していることがわかる。
浦和時代の15年には自身のシーズン最多となる13ゴールをマークした。そのうち11点がトラップせずに決めたダイレクトシュートで、いわゆるワンタッチシュートを得意とする。だが、今季のワンタッチゴールはまだ1点のみ。今後さらにパスの出し手との連係が深まれば、相手DFのマークを外す動きにたけた武藤のワンタッチゴールも増えるはず。5位につけるチームもさらに上位を狙えるに違いない。
【石川秀和】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「データが語る」)
<J1通算50得点年長到達>
36歳4カ月15日 ヨンセン(清水)10年
35歳4カ月12日 中村憲剛(川崎F)16年
35歳2カ月11日 ディアス(横浜M)94年
35歳2カ月3日 ストイコビッチ(名古屋)00年
34歳8カ月13日 中村俊輔(横浜)13年
34歳6カ月6日 家長昭博(川崎F)20年
34歳5カ月28日 吉田孝行(神戸)11年
34歳5カ月17日 永島昭浩(神戸)98年
34歳0カ月6日 田中順也(神戸)21年
33歳8カ月3日 武藤雄樹(柏)22年