広島(年間勝ち点1位)が2年ぶり3度目の年間王者に輝いた。前半27分に先制されたが、後半31分に途中出場のFW浅野拓磨(21)が同点ゴール。そのまま1-1の引き分けに持ち込み、2戦合計4-3で昨季3冠のG大阪(同3位)を下した。主力選手が続々と移籍する中でも、MF青山敏弘主将(29)を中心にチームはまとまり、浅野ら若手の台頭で戦力の底上げにも成功。最近4年で3度優勝と黄金期に入った。
広島が揺れた。3万6000人を超える満員のスタンドが、沸き上がった。後半31分だ。MF柏が右からあげたクロスを、快足FW浅野が頭でたたき込んだ。競り合ってきたDF2人を意地と執念で振り切った。2年ぶりの年間王者を引き寄せる値千金の同点ゴール。途中出場の21歳が、森保監督を再び「男」にした。
「たくさんの人が見に来てくれたので、今日は絶対決めようと思っていた。ありがとうございます!」。ドイツのクラブが興味を示すほど急成長した若きヒーローは、満面の笑みで声を張り上げた。
今季は、試合途中からの切り札として才能を発揮し8得点。日本代表で国際Aマッチ出場も果たした。試合前日は、必ず三重の実家にテレビ電話する。7人兄弟で、どこよりも家族の絆は強い。入団時には両親に車を贈った。父智之さんの49歳の誕生日だった2日の第1戦では挙げられなかったゴールを、3日遅れで決めてみせた。「実家の軽自動車がボロボロなんで」と、優勝で2台目を贈ることも決めている。
浅野だけじゃない。厳しい戦いを、一丸となって切り抜けた。劇的な逆転勝ちで第1戦をものにし、優位な立場でホームに戻ってきたが、昨季3冠のG大阪に苦しめられた。前半は引き気味になり、27分に先制点を許した。もう1点与えれば、王者の称号は手にできない。だが、そこからが強かった。元日本代表のMF青山主将を中心に、体を張って相手の攻撃を止めた。MVPに輝いた青山は、紫に染まったスタンドに向かい「日本一だよ~」とさけんだ。「最後は総合力で1点取った。みんなで取れた優勝。去年、土砂災害で被害に遭った方に、いい報告がしたかった」。リーダーらしい言葉だった。
地道な強化でチーム力を高めてきた。昨年度のチーム人件費約13・5億円はJ1平均を下回る。20億円を超える浦和に近年は柏木ら主力選手を次々と引き抜かれた。苦しい状況でも、鍛錬を続けた。リーグ戦の出番が少ない選手に週2、3日は「キャンプ状態」という2部練習を課した。森保監督の指導力もあり、現有戦力を底上げした。
リーグ戦の失点は最少で得点は最多、年間勝ち点も1位。広島が王者にふさわしい強さを見せつけ、頂点に立った。【木村有三】



