北海道コンサドーレ札幌のMF稲本潤一(38)が、プロ22年目の来季も札幌でプレーする。3日、札幌・宮の沢のクラブ事務所で第1回契約更改交渉に臨み、来季残留の意向を明言した。16年6月の右膝前十字靱(じんたい)断裂から復活した今季は出場6試合、無得点。札幌4年目を迎える来季は、定位置争いする覚悟を示した。

 最終節から一夜明け、稲本の目はすでに来季へ向けられていた。この日、第1回契約更改交渉を終え「来年も札幌でやりたいと思う」と、真っすぐな思いを口にした。クラブ側から来季契約に向けた条件などを正式に提示された。詳細は今後詰めていくことになるが、来季残留は確定的となった。

 15年に加入後、2度手術を受けた。昨年負った右膝前十字靱帯(じんたい)断裂から今季後半戦で戦列復帰も、出場は6試合にとどまった。「これだけ迷惑を掛けてて外(のチーム)に出るわけにもいかない」と覚悟を示し「札幌ドームに集まってくれるサポーターの前でプレーする喜びだとかは、やっぱり素晴らしいもの」と愛着ものぞかせた。

 チームは16年ぶりのJ1残留を決めた。ピッチに立つ機会は少なかったが、ベテランとしてチームを後押しした。「試合以外の部分の取り組みだったり、ほかの人への影響を評価してもらった」と、若手を鼓舞し続けた姿を認められたのがうれしかった。それでも「選手としては、ピッチに出て、試合に絡んで、勝利を持って来るプレーをするのが重要」と、悔しさも隠さない。

 来季就任するペトロビッチ監督の下でプレーする日を心待ちにする。広島、浦和での功績に「どんな練習をするのか」と興味津々だ。「来年は若手に自分の背中を見せるとかではなく、しっかりチームの戦力として競争できるくらいのパフォーマンスを常にやり続けていきたい」。札幌移籍1年目には、キャリアハイのリーグ戦31試合に出場している。39歳を迎える来季も、赤黒ユニホーム姿で躍動する。【保坂果那】

 ◆稲本とJリーグ G大阪でデビューした97年シーズンに出場27試合3得点。アーセナルを皮切りに、海外7クラブを経て10年に川崎FでJ1復帰、5シーズン在籍。その後移籍したJ2札幌で15年31試合出場。16年は故障前8試合1得点と定位置を獲得していた。