復活を目指す昨季14位の浦和が「苦手克服」となる4年ぶりの開幕戦勝利を飾った。

2年間未勝利だった湘南戦を3-2で制した。前半7分に先制を許したものの、同39分にFW興梠慎三(33)が同点ゴール。同42分に新加入のFWレオナルド(22)がJ1初得点を決めると、2-2で迎えた後半40分、MF関根貴大(24)が勝負を決めるゴールを挙げた。昨季7戦全敗だった金曜日開催のリーグ戦で競り勝ち、好スタートを切った。

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開幕戦から鮮やかなカウンター攻撃で白星をもぎ取った。2-2で迎えた後半40分。左サイド突破に成功した途中出場のMFマルティノスからパスを受け、MF関根が左足でゴールネットを揺らした。「あれが今季の浦和の良さ」。1月の始動からチームで意思統一されてきたボール奪取から即座に攻撃に転じる、戦術通りの決勝点だった。

先制を許した嫌なムードは今季公式戦初出場のFW興梠が変えた。1度目のシュートをこぼしたGKのミスを見逃さず、2度目のシュートで押し込んで同点。先週負傷した右足首は「100%ではない」としながらも「自分が入っても勝ちに持っていきたかった。2トップで崩せるようにしたい」と通算148点目を挙げて決意を新たにした。興梠との開幕アベック弾でJ1初得点のFWレオナルドは「あと22点を取らないといけない」と、23得点をマークして得点王を奪う意欲をみせた。

金曜日開催のJリーグは昨季7戦全敗だった。湘南にも2年間で3敗1分けと未勝利で、開幕戦も3年連続で勝利なし。第1節の黒星数(14敗)はリーグでワーストと苦手だった。後半27分、VAR判定でペナルティーエリアでのハンドを認定されたDF鈴木大輔はPK献上。最終的には湘南FWタリクのPKミスに救われ「金曜に勝てない流れを最初のうちに断ち切れて良かった」と前向きになれた。 昨季の浦和はアジアチャンピオンズリーグ(ACL)で準優勝した一方、リーグ戦は最終節で残留を決める14位と低迷。ACLの過密日程などの影響もあって「金J」に勝てない鬼門になっていた。22年にリーグ制覇を目指す3カ年計画を立て、今季はACL出場権獲得と得失点差プラス2桁を掲げた。苦手を克服する開幕戦の「三重苦」クリアは強豪クラブ復活へ、大きなはずみになりそうだ。【藤中栄二】

◆金曜日のナイターで開幕 過密日程の緩和や、露出増による新規ファンの開拓、何より巨額の放送権料で全試合を中継する動画配信サービスDAZN(ダ・ゾーン)の意向もあって18年に導入された。18年は2月23日の鳥栖-神戸戦(1-1)で開幕。19年は2月22日にイニエスタ、ビジャ、ポドルスキという世界のスター選手を擁する神戸がC大阪と対戦した。C大阪のホーム、ヤンマースタジアム長居にはクラブの開幕戦では史上最多となる4万2221人のサポーターが詰めかけた。試合はC大阪が1-0で勝った。