ヴィッセル神戸の元スペイン代表のMFアンドレス・イニエスタ(39)が、涙で神戸ラストマッチを終えた。北海道コンサドーレ札幌戦は今季4戦目で初めて先発としてピッチに立ち、後半12分までプレーした。神戸、Jリーグの発展に大きく貢献したレジェンドは、最後の勇姿を見せて大粒の涙で感謝を口にした。現役続行の意向を示しており、中東などのクラブが興味を示している。試合は1-1だった。

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多くの愛を感じ、涙が止まらなかった。セレモニーの歓声、サポーターから送られた特別チャント(応援歌)に泣き、最後にはチームとスタンドが一体の、クラブを象徴する歌「神戸賛歌」で再び涙があふれた。「神戸に来た時には、この旅がこれだけ美しく、感動的なものになるとは想像できなかった」と泣いた。

ラストマッチで今季の公式戦初先発。トップ下でプレーした。前半26分に先制された。ボールを受けられず、魔法のようなタッチは見せられない。それでも同36分には、MF汰木とのコンビで左サイドを突破して右足でシュートした。後半12分に交代。後半40分、DFのMトゥーレルの同点弾はベンチで見た。仲間から勝ち点1をささげられた。

18年に加入直後から、イニエスタをひと目見ようと、ホーム入場者数は4割増し、アウェーは2倍以上となった。海外のファンもひきつけた。会場で観戦した日本協会の田嶋会長は「日本人と変わらない体格で、将来日本がワールドカップでチャンピオンになるとしたら、イニエスタ選手みたいな選手を育てていかないといけない。本当にお手本になったし、我々の目標にもなった」と感謝した。

絶大な影響力を持つ世界的名手ながら、その姿勢は最後まで謙虚そのものだった。「クラブにも、街にも、リスペクトを持ってきた5年間で成長することができた」。人柄でも愛されるスーパースターだった。

39歳はバルセロナ、神戸に続く第3のクラブで旅を続ける。「ピッチの上でプレーしながら引退したい、という気持ちがあり、いま、次の1歩を踏もうと思っています」と説明した。現役続行の意向で中東などから関心を寄せられている。

「さよならという言葉は好きではない。また会いましょう。また日本に戻ってきます」。神戸との再会を約束して、新たな未来に目を向けた。【永田淳】

▽MF山口 (イニエスタとは)5年間一緒に練習し、試合に出るのが当たり前だった。(退団して)これから感じることも多いのでは。上位争いをする姿を見せたい。

▽MF斉藤 (イニエスタの日本デビュー戦は湘南の選手として対戦、最終戦は同僚で先発し)彼から偉大さ、人間としてのすごさを感じてきた。もっと学び取りたかった。

▽FW武藤 最後はいい形で締めさせてあげたかった。追いつけてよかった。最低限の結果。これから勝ち続けるしかない。