トロロッソ・ホンダはブレンドン・ハートリーが12位、ピエール・ガスリーは47周目にリタイアとノーポイントに終わった。

後方グリッドからのスタートではあったがガスリーはタイヤをうまく保たせ、ハース勢との10番手争いまで浮上していた。しかしパワーユニットからのオイル漏れが発生し、コース上にマシンを止めた。

「とてもエキサイティングなレースだったよ。実際、リタイアするまでの47周はとても楽しむことができたよ。スーパーソフトでとても良いスタートを切ることができて1周目には13位まで上がって、最後は10位を走って9位のグロージャンを追いかけていたしね。後方グリッドからここまで挽回できたというのは良いことだと思う。良いバトルや良いオーバーテイクもあったしね。クルマのフィーリングも良かったしタイヤマネジメントもうまくできた。ただ、少し早く終わってしまったね」(ガスリー)

トラブル自体は「(漏れた接続箇所を)締め直せばまた走れるようなもの」(ホンダ・田辺豊治テクニカルディレクター)だといい、単純なミスだった。設計の根幹に問題があったわけではないが、それでもレースを失ったことに変わりはないと田辺テクニカルディレクターは肩を落とした。

「トラブル自体は深刻なものではないんですが、0か100かで言えば(レースを失って)0ですから、結果としては同じことだと思っています。昨日のような(大きな)ことでも止まりますし、わずかなことでも止まりますし、ちょっと締め直せばまた走れるようなことでも止まってしまえばレースは終わってしまいますから。もう1度細かなところまで見直して来年に向けて大きなものも小さなものも問題を出さないようにして臨みたいと思います」(田辺テクニカルディレクター)

ハートリーは1周目にルノーのマシンが横転する事故の余波でフロントウイングを壊して緊急ピットイン。旧型仕様のウイングに換えざるを得ず、さらにここから1セットのタイヤで最後まで走り切る戦略を採ったため我慢のレースで12位に終わった。

「1周目のターン8〜9でアクシデントが起きていて行き場所がなくなってしまって、誰かが落とした大きなデブリを踏んでフロントウイングにダメージを負ってしまったんだ。それでピットインしてフロントウイングを交換すると同時にスーパーソフトタイヤに交換して最後まで走り切る作戦に換えた。でもフロントウイングはスペアが無いから古いスペックに交換しなければならなかったし、新型フロアとの組み合わせになってしまったせいもあってレースを通してマシンのフィーリングは満足できる状態ではなくなってしまったよ。1セットで1レース距離全てを走り切らなければならなくなってしまっただけにタイヤはかなりマネジメントしなければならなかったしポイント争いは難しくなってしまったんだ」(ハートリー)

パワーユニットの性能としては年間3回のアップデートで着実な進歩が果たせた反面、レース結果は思うように付いてこなかった。

「トラブルがなければポイントはとれたところだと思いますが、そのチャンスを失ったこともさることながら一番悔しいのは完走できなかったことです。最終戦でこのように問題が出てしまったのは悔しいです。来季に向けて、さらに新たな課題が見つかったと言えると思います」(ハートリー)

ホンダはレッドブルとタッグを組む来季に向けてさらなる性能向上に努めるのはもちろん、信頼性を向上させるためにもHRD Sakuraの開発部隊とレース現場の運営部隊、レッドブル及びトロロッソのチーム側との連携をさらに強化すべく改善を進めている。来年3月のシーズン開幕に向け、2月18日から始まる開幕前合同テストにマシンとパワーユニットを間に合わせる必要がある。新たな一歩に向け、さらなる引き締めを図る。(米家峰起通信員)