ノルディックスキーのW杯ジャンプ男子で日本人初の個人総合優勝を果たした小林陵侑(22=土屋ホーム)が26日、欧州遠征から約2カ月ぶりに帰道した。

昨年11月に初勝利を挙げてから13勝まで積み上げるなど、今季ジャンプ界の話題を独占した「世界の陵侑」の凱旋(がいせん)に、新千歳空港では居合わせた200人超から祝福を浴びた。躍進した今季、追われる立場となる来季への思いを聞いた。

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-約2カ月ぶりの帰道

小林陵 新千歳空港とは思えないぐらいたくさんの人に来ていただいて。すごくたくさん…、カメラの方にしか会っていないですが(笑い)。フラッシュを浴びさせていただいてうれしい。

-1月のW杯札幌大会前に帰道した際は「頭が疲れていた」と話していたが

小林陵 (24日のスロベニア・プラニツァでのW杯最終戦で日本最長記録となる)252メートル飛んで、次の日から背筋が痛いです。

-今季の試合で一番誇れるものは

小林陵 記憶に新しいのは(W杯)最終戦でプライベートベストの252メートルが出せたことが一番うれしい。アプローチから入りも良く、飛び出しもすごく良く、下風もよかったのであそこまで伸ばせた。

-W杯で13勝、21度の表彰台で総合優勝。今までと違ったシーズン

小林陵 トップに居続けるというのは簡単じゃない。(うれしかったのは)クリスタルトロフィーがもらえたことです。(持った感触は)重いですね。

-昨年11月の個人第2戦での初優勝から3月の最終戦まで、月間2勝、3勝、4勝、2勝、2勝とコンスタントに勝利。今季の強さの要因は

小林陵 技術が安定していた。感覚のぶれも少なかった。こうやればうまくできる自信もあった。

-子どもたちも競技に関心を持った

小林陵 ジャンプ見て楽しそうだなと思って始めてもらえるのはうれしい。憧れてもらえれば。

-オフの予定は

小林陵 イベントラッシュでゆっくりもしていられないですが…、ゆっくりしたいです(笑い)。本当に何も考えずに、ゆっくりしたい。

-29日の日本ハム開幕戦(対オリックス=札幌ドーム)で始球式もある

小林陵 野球はこれからシーズンが始まる。勢いをつないでいけるように、しっかり準備したい。キャッチボールや壁当てをしています。まっすぐど真ん中に投げたい。

-来季は王者として臨む。目指すところは

小林陵 体もジャンプの技術も変わると思う。これからしっかり進化し続けて、また世界のトップになれるように頑張りたい。(次の目標は)世界記録です。

○小林陵侑今季の活躍度

◆W杯個人総合優勝 日本男子では小林陵が初めて。昨季までは船木和喜の総合2位(97~98年)が最高で、総合3位は船木が1度、葛西紀明が2度。

◆W杯シーズン勝利 15~16年プレブツ(スロベニア)15勝が最多。日本男子は小林陵13勝(歴代2位タイ)が最多で昨季までの葛西7勝(98~99年)を更新した。女子は13~14年高梨沙羅の15勝が最多。

◆W杯連勝 男子は小林陵を含めた6連勝が最多で、04~05年アホネン(フィンランド)05年ハウタマキ(フィンランド)07年モルゲンシュテルン(オーストリア)09年シュリーレンツァウアー(オーストリア)の5人。女子は15~16年に高梨が10連勝。

◆ジャンプ週間完全V 小林陵の今季4戦4勝での総合優勝は、01~02年ハンナバルト(ドイツ)17~18年ストッフ(ポーランド)以来3人目。日本勢の総合優勝は97~98年の船木和喜以来2人目。

◆最長記録 24日にスロベニアのプラニツァで行われたW杯個人最終戦(ヒルサイズ=HS240メートル)で、日本最長記録となる252メートルの大ジャンプ(ジャンプ台記録)。世界最長記録はクラフト(オーストリア)の253・5メートル。