NBAのスーパースターが、ドラフトでウィザーズから日本人初の1巡目指名を受けた八村塁(21=ゴンザガ大)の活躍に太鼓判を押した。

2度の最優秀選手を獲得しているステフィン・カリー(31=ウォリアーズ)が23日、都内で行われた高校生向けのイベントに出席。八村について「バスケIQが高い」「彼のスタイルはNBAの試合が向かっている方向性にすごくあっている」と言及。賛辞を惜しまず、今後への期待を込めた。

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その高い期待値は日本だけでは決してないようだ。年収約90億円、米経済誌フォーブスの19年度世界で最も報酬の高いアスリートランキング9位という世界最高峰のポイントガードも、八村への期待を惜しまなかった。

カリー 実際に彼のプレーを見ると、サイズも大きいし、バスケIQが高い。リング周りではソフトなタッチも持っている。彼のスタイルは、NBAの試合が向かっているスタイルにすごく合っている。彼がNBAの選手として戦い始めれば、ゲームスタイルはさらに拡大をしていくだろう。相手にプレッシャーをかけ続けられることができる選手になると思う。

プレーの幅が広い21歳の活躍に太鼓判を押し「今後のプレーを見ることが楽しみ」と話した。191センチとNBA選手の中では、恵まれた体格とは言えないカリー。精密なシュート力が注目されるが、それはシュートを打ちやすい状況を作れる判断能力が下支えする。当然、リップサービスも含まれるだろうが、そのすごみを備えた男から「バスケIQが高い」との評価を受けた意義はありそうだ。

八村は日本人として初となるNBAドラフト1巡目の指名を受けた。カリーは「NBAにとってもエキサイティング。日本を含め世界の選手が集まってNBAで競うのは素晴らしいこと。今後、彼の道を追う人にとっての先駆者になったのも、八村選手が成した偉業。多くの子どもがバスケットボールを手にし、学ぶきっかけにつながるのではないか」と口にした。

ただ八村自身も強調するように、ドラフト指名はスタートライン。NBAで活躍をしてこそ、その価値は高まっていく。イベントの司会者から八村と対戦した時は「お手柔らかにお願いします」と水を向けられたが、カリーは「それはできないな」と苦笑い。世界のスターとの真っ向勝負の瞬間は、刻々と近づいている。【上田悠太】

◆ステフィン・カリー 1988年3月14日、米オハイオ州生まれ。ホーネッツ、ラプターズで活躍した父デル・カリー氏の影響で競技を始める。デビッドソン大から09年ドラフト1巡目、全体9位でウォリアーズに加入。14-15年シーズンから2季連続で最優秀選手獲得。NBA優勝3度、準優勝2度。190センチ、86キロ。