日本ラグビー協会の清宮克幸副会長(52)らが発足準備を進めている、トップリーグ(TL)に代わる新リーグ(2021年秋スタート)の参入要件説明会が28日、都内で行われた。

骨子として示されたのは5項目。主なものは

<1>運営機能

・各参加団体は事業機能を持つこと

・参加団体はトップリーグ、トップチャレンジリーグの所属に限らず、企業チーム以外にも門戸を開く

<2>チーム名称

・チーム名に地域を取り入れること

・企業名を入れることは任意とする

<3>ホームエリア

・21年シーズンからのホームエリアを決定すること

<4>スタジアム

・21年シーズンにホームゲームを開催できるスタジアムを確保すること

・1部リーグは1試合当たり1万5000人の観客動員を目指す

・23年シーズンまでに1万5000人以上収容のスタジアムを確保できるよう日本ラグビー協会、リーグ運営法人、チームの3者で努力する

・各参加団体がスタジアムを確保するために、リーグ運営法人・協会があらゆる側面で支援する

<5>事業運営

・チーム事務局、財務、競技・イベント運営、広報、営業・マーケティングの各担当者をそれぞれ設置すること

最後に重要事項として、新リーグは入会要件の充足状況に基づき1部、2部とも「10チーム±2チーム」(8~12チーム)の編成になること、場合によっては3部の要件審査を行うことが付記された。TLは現在16チーム。最上位リーグの参加チームが削減され、より競技力が高まることになる。各チームへの参加意思確認は3月末までに行われる。

協会の岩渕健輔専務理事(44)は「ラグビー・ワールドカップ(W杯)の30年以内の再招致を目指す中、より競技力を高めるために国内リーグがさらに発展しないといけない」と強調。人気を長続きさせるためにも必要なことで「TLと新リーグの大きな違いは、各チームに事業を行ってもらうこと、企業チーム以外も参加できること、チーム数が多くなっていくこと」と説明した。

新リーグのマーケティング準備室長を務める清宮副会長は「今は放映権がないに等しいが、価値を生み出すリーグの立て付けを考えて日本ラグビーを最終的なリーグの形はまだ決まっていないが、僕の中では形がある。今は言えないが、しっかり稼いで原資を彼に渡したい」と隣席の岩渕専務理事の肩をたたいた。

法人準備室長として重責を担うことになった谷口真由美理事(44)は、父龍平さんが近鉄ラグビー部のコーチ、母が寮母だったため近鉄花園ラグビー場内で育った経歴を、あらためて自己紹介。現在はテレビ出演が多いが「3月で全メディアから卒業します」と新リーグの立ち上げに専念する覚悟を、まず示した。

そして「ラグビーを社会にどう定着させるか、どう競技人口をV字回復させるか、固定ファンに加え、どう『にわかファン』をさらに増やすか。収容1万5000人以上のスタジアムという言葉が1人歩きするかもしれないが、最終的に社会を発展させる持続可能性も見据え、価値を高めていきたい」と語った。

谷口氏は「サッカーのJリーグやバスケットボールのBリーグのようなプロ契約か、社員契約か」との質問には「思考の幅を狭めたくない」として明言することを避けつつ「選手のステータスは詰めているところ」と説明。主な収入源には「チケット」を挙げた。

各参加団体には事業機能を持たせるが、企業チームの分社化は「門戸を大きく広げるために。ラグビーならではの、ゆるさ」を柔軟にとらえて求めない方針。一方で「審査については厳しくやります。1部と2部の入れ替え戦も強化のために当然、想定しているし(新リーグのディビジョン分けの参考になる)来季はサバイバルも考えている」と声に力を込めた。

最後は、清宮氏が「リーグセントラル」との言葉を持ち出しながら、リーグ主導でチーム強化の一助を担うプランを発動する可能性があることも披露。完全プロ化は調整が難航してアマチュアと混在する形になったが、少しでも理想に近づけるべく、妥協しながらもベストのリーグ強靱(きょうじん)化計画を探っていく。【木下淳】