女子フルーレは、昨年と同じ2選手が決勝に進出した。2連覇を狙う辻すみれ(20=朝日大)と菊池小巻(23=セガサミー)が、それぞれ準決勝までの3試合を勝ち上がり、26日の日本一決定戦(男女6種目をABEMAで生中継)に駒を進めた。

辻は、東京五輪代表入りが確実となっている2人を連破した。準々決勝で上野優佳(18=中大)を15-9で振り切り、準決勝では東晟良(21=日体大)に15-12。2年連続で同い年の好敵手に競り勝った。日本代表のチームメートで「2人とも、いつも対戦も練習もしている。自分が守備型とは相手も分かり切っているので、あまりにも、そこをつけ込まれ過ぎないように」意識したという。

特に顕著だったのが、東との準決勝。昨年は6-5というロースコアで白星をつかんだが「今年は前に前に。下がりつつも攻めの気持ちを持って、攻撃的な守備ができるよう心掛けた」と15点を取り切った。「練習でも、普段以上に攻撃の練習をたくさんしてきたので。試合の中で違うパターンの得点が生まれたり、幅が広がった」と進化した姿を見せた。

アニメ「エヴァンゲリオン」の大のファンで、この大会から剣の持ち手(ヒルト)を「エヴァ仕様」に塗装。愛する紫色ベースに「初号機」の模様を入れ、ツイッターで公表した。模型用塗料メーカーのガイアノーツに依頼し、版元も公認で完成。「初めて使ったので気合が入った」と力をもらい、東を撃破する15点目の獲得時には全身を震わせて絶叫した。「あの場面は『覚醒』していたかもしれないですね」。最後はリミッターが外れた「初号機」になり切ったが、あごが外れるほどは笑わず、謙虚にほほを緩めた。

決勝もエヴァ仕様で臨む予定。目指すはV2。「やっぱり2連覇したいし、頑張りたい。今日みたいに自分らしい試合運びができれば」と思い描いた。

対する菊池は準々決勝で宮脇花綸(23=マイナビ)を15-9、準決勝で狩野愛巳(22=日清製粉グループ)を15-13で下した。2年連続のファイナルで狙うは4年ぶりの頂点だ。昨年は15-8のスコアで辻に軍配が上がったが、菊池は「あまり自分のペースがつかめなかった反省点を生かしたい。今年こそ自分のペースでいければ」と語った。

19-20年シーズンの今年1月、自力で東京五輪の団体戦出場枠を確保した「最強」女子フルーレ。その主軸を担う2人による、2年連続のハイレベルな決勝が1週間後に実現する。【木下淳】