昨年ノービスB女王の島田麻央(11=木下アカデミー)が、有力選手がそろったノービスAを1年目から制した。

108・42点で初優勝。現在と採点方式は違うものの、16年に住吉りをんがマークした108・25点を上回る歴代最高得点をたたき出した。

冒頭のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)は転倒したものの、続く3回転ルッツ-3回転トーループ-2回転トーループの3連続ジャンプを含め、アクセル以外の3回転ジャンプをすべて成功させた。最後は3回転ルッツのタノジャンプで締めくくると、キス・アンド・クライでは浜田美栄コーチに手を握られて笑顔で喜んだ。

演技後、オンライン取材に応じ「1本目のアクセルは転んでしまったんですけど、ミスを引きずらずに演技できたので、ほかは良かったかなと思いました」と冷静な第一声。6分間練習でも挑戦していた3回転半について「練習では回転不足で立ったりしてるんですけど、今日のアクセルは良くない方でした。朝の公式練習では良い感じだったので、少し手応えはありました」と説明した。

浜田美栄コーチからは「もっと足を前に出していこうね」と指摘されたが、ほかのジャンプに関しては「ミスがなかったから良かったかな」と褒められたことを明かし、はにかんだ。

母の歩さんが浅田真央さんの大ファンで名づけられた。もちろん「憧れの選手は浅田真央さん」だ。トリプルアクセルの手本としているのは「浅田選手、コストルナヤ選手、羽生結弦選手です。浅田選手は、見ている人がみんな笑顔になるので、自分も、笑顔で滑って見ている人たちも幸せにしたいです」と初々しく話した。

練習では、既に4回転トーループの習得にも取り組み始めているという。「2週間に始めたところで、たまに、回転不足ですけど降りたりしています」。その後、取材に応じた浜田コーチが「(島田は)4回転ルッツも練習していますよ」と明かすなど、末恐ろしい小学6年生。本人は「まだまだ」と謙虚だが、2026年のミラノ・コルティナダンペッツォ五輪(オリンピック)の星として期待される。

ノービスBを制した昨年は東京・明治神宮外苑FSCに所属していたが、専用練習場で、より少数精鋭の指導を受けるため、京都・宇治の木下アカデミーに拠点を移した。将来の夢は「五輪で金メダルを取って、憧れられる選手になることです」。真央さんも優勝したノービスABを制した島田が、次代の麻央ちゃんとして着実に王道を歩んでいる。【木下淳】