連載「鳥海高太朗の静岡深掘り」第10回は、「JR清水駅前の新スタジアム構想実現のメリット」がテーマです。月2回の連載で、航空・旅行アナリスト鳥海高太朗氏(47)が、静岡に関する身近な話題を分かりやすく解説。お得な情報もお伝えします。
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静岡市は15日、石油元売り大手ENEOSが保有するJR清水駅東口にある製油所の跡地について、土地活用についての合意書を同社と交わした。
静岡市は再開発にあたり、今後この土地に新スタジアムを建設するかの検討に入る。J1清水の新たな本拠地となる新スタジアムを建設するか、現在のIAIスタジアム日本平(略称アイスタ)を改修するか。来年3月までに決定すると明らかにしている。
最近のスタジアム新設では、J1広島が2024年2月、郊外にあったスタジアムを広島市内中心部に建設された2万8520席の「エディオンピースウイング広島」に移転。24年10月には、J2長崎が、諫早市にあったスタジアムからJR長崎駅から徒歩圏内の「スタジアムシティ長崎」(長崎市)に建てられた約2万人収容のスタジアム「ピーススタジアムbySoftBank」に移転した。どちらも“街ナカ”にスタジアムがあることで交通アクセスが大きく飛躍。サッカー観戦がより身近になり、観客数も伸ばした。仮に清水の本拠地が新スタジアムへ移転した場合、より身近に観戦できるようになる。
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私自身もIAIスタジアム日本平で観戦したことがあるが、JR清水駅からバスで約20分と離れている。バスに乗らずに駅前のスタジアムで観戦できるメリットは大きい。駅前にスタジアムが新設されれば、確実に片道あたり30分は短縮される。
ただ、清水駅前は駐車場があまり多くない。交通渋滞を含め、車で来場する場合の対策も必要だ。現在のようなスタジアム外の駐車場からのシャトルバス運行に加え、JR静岡駅や東静岡駅周辺に駐車して「パーク&ライド」の形で、電車で清水駅まで向かうことも考える必要があるだろう。
アウェーチームのサポーターにとってもメリットは大きい。JR清水駅から近くなれば、移動時間の短縮にもつながる。また清水駅前に「清水魚市場 河岸の市」が今年4月19日にリニューアル。より駅に近くなったが、マグロ丼など静岡県内で水揚げされた魚が安く食べられるほか、釜揚げしらすなどをお土産で買って帰れる。最近では清水港に寄港するクルーズ船に乗船している外国人観光客の姿も多くみられる。新スタジアムが建設されれば、至近距離であることから、特にエスパルス戦観戦に来るアウェーのサポーターの楽しみもより増え、清水がますます元気になるだろう。
私のように試合終了後に東京へ向かう場合、万が一、バスに乗車するまでに時間がかかってしまうと、ナイトゲームの場合に東京に帰れない可能性も出てくる。状況によって、追加タイムで席を離れることもあるがその必要もなくなる。もちろん静岡県内のサポーターにとっても、チケットが当日余っているゲームであれば、思い立ったら観戦というスタイルも増えるだろう。もし清水駅前に新スタジアムを作るのであれば、中途半端なスタジアムではなく、しっかり集客できるスタジアムを作り、静岡県民の誇りになる存在になってほしい。
◆鳥海高太朗(とりうみ・こうたろう)1978年(昭53)7月17日、千葉県生まれ。成城大卒。航空・旅行アナリスト、帝京大学理工学部非常勤講師。航空会社のマーケティング戦略を主研究に、自らも国内外を巡りながら体験談を中心に各種雑誌・経済誌などで執筆している。静岡第一テレビ「every.しずおか」のコメンテーターとして静岡県内も精力的に取材している。


