大相撲の横綱審議委員で脚本家の内館牧子氏(60)が、今週発売の「週刊朝日」で、横綱朝青龍(28=高砂)と日本相撲協会を痛烈に批判した。昨年12月に心臓弁膜症の手術を受けて病院に入院中の同氏は、朝青龍の行動や、朝青龍に対する協会の対応の甘さに腹を立てていたという。病床での執筆を自ら申し出たといい、「『横綱』という最高位に立つには器が小さ過ぎた」「協会がなぜ蛮行の数々を不問に付し続けているのか」などと書いている。

 舌鋒(ぜっぽう)鋭い内館節は「週刊朝日」3月20日増大号に掲載されている。内館氏は自らの体調が徐々に回復していると明かし、約2カ月前から休載のコラムが「そう遠くない日に連載が再開できそうに思っております」と、穏やかに書きだしている。だが、第2段落からは、朝青龍や日本相撲協会に対して手厳しい言葉を並べた。

 優勝した初場所の土俵上でガッツポーズをするなどした横綱朝青龍について「彼は相撲という伝統世界の、『横綱』という最高位に立つには器が小さ過ぎた」と書いた。協会については「朝青龍に対する協会の甘さに立腹する」「協会がなぜ朝青龍の蛮行の数々を不問に付し続けているのか理解できない。(中略)協会が強い態度で教育すべきである」などと、厳しく批判している。

 「週刊朝日」によると、今回のコラムは編集部からの要請ではなく、先月下旬、内館氏が事務所を通して「春場所前に記事を載せられないか」という打診があったという。ファクスなどで原稿をやりとりした担当者は「文字のタッチなど、まったく鈍っていなかった。逆にもう少し病人らしく療養した方がいいのでは、とさえ思った」と話し、同氏の事務所関係者は「食事も食べ、普通に話して笑ったりして生活している」と明かすなど、心臓弁膜症の手術から約3カ月は過ぎ、経過は順調のようだ。

 15日初日の春場所(大阪府立体育会館)を視察する予定はなく、千秋楽翌日の横綱審議委員会も欠席の予定。復帰の時期について事務所関係者は「何とも言えない」というが、内館氏は病床から厳しく目を光らせている。「千三百年の歴史を、一力士や一事象によって汚されることを、協会は断じて許してはならない」。そんな同氏の叫びは朝青龍や協会に届くのだろうか。【山田大介】