「おかあさんといっしょ」15作目の新人形劇は性別のないキャラなど多様性で挑戦

【番記者裏話】スクープや芸能界の最新情報を求めて現場を駆け回る芸能記者が、取材を通じて感じた思いをつづります。とっておきの裏話を明かすことも…。

番記者裏話

遠藤尚子


NHKEテレの幼児向け番組「おかあさんといっしょ」の人形劇コーナーがリニューアルし、4月から「ファンターネ!」になることが先日、同局から発表された。劇の原案・作を担当する「劇団ゴジゲン」の松居大悟氏、目次立樹(めつぎ・りっき)が取材会で意気込みを語った。

松居氏はゴジゲンの主宰で、脚本家・演出家・作家として活動する。映画「くれなずめ」や「ちょっと思い出しただけ」など、話題作を飛ばす映画監督としての顔も持つ。目次は同劇団の旗揚げメンバーで、看板役者。劇団の活動休止中に農業に転じるなど変わった経歴の持ち主だ。児童クラブの先生を務めていたこともあり、NHKからオファーを受けた松居氏が「彼と一緒に作りたいと相談した」と話を持ちかけたという。

人形劇統括の梶原真名美プロデューサーは、2人の起用理由について「ゴジゲンの舞台は見終わった後にすがすがしい思いがして、紡がれるせりふも優しい。そういったお芝居を作る松居さんや目次さんが、幼児に向けたらどんな発想をしていただけるのかと思った」と話す。

「おかあさんと-」は1959年(昭34)に始まった長寿番組で、時代とともに人形劇も変えながら「ファンターネ!」で15作目となる。自分が見ていた人形劇のキャラクターに懐かしさを覚える人も多いだろう。今後子供たちの記憶に残り続けるであろう作品を手がけることになるが、松居は「誤解を恐れずに言うと、子供向けに作ろうという意識はそこまでなく、ファンターネ島に出てくる3人やそのほかの登場人物、島の風景、景色を含めて愛せるようになって、外に出づらいからこそ一緒に遊んだような感覚になればいいなと作っています」。幼児向けという未体験ゾーンへの挑戦となるが「やったことがないから苦しいと思うタイプではなく、むしろ楽しいと思うタイプ」と、全くプレッシャーを感じさせなかった。

目次も同様で「朝目覚めて『次の世代の子に向けて仕事をするぞ』ということが、とてもうれしい。毎朝楽しく目覚めることをとっても幸せに感じている」といきいき。また「毎日5分、1話完結で違う話を作り続けることは結構ハードだけど、自分自身が満たされているので苦にならない。むしろチャレンジして、毎日もっといい作品を作りたいという、フツフツと情熱が沸いている」と語った。話しぶりは淡々としていたが、素直なやる気に満ちた言葉は聞いていて気持ちが良かった。

人形劇のメインキャラクターは、カッパの女の子「みもも」、性別のないひょうたんの子供「やころ」、ライオンの男の子「ルチータ」と多様性を意識。あらゆる種族が一緒に暮らすファンターネ島で、生き物たちが個性を認め合いながら楽しく暮らす姿を描くという。目次は「お子さん大人まで楽しめる作品を心がけている。子育てを頑張っている親御さんにもぜひ見ていただいて、楽しんでいただきたい」と話している。

ちなみに、ともに85年生まれの36歳。「にこにこ、ぷん」を見て育った世代という。個人的な話をすれば私も同い年…ということで、2人がどんな人形劇を作るのか気になっている。4月は懐かしい気持ちで「おかあさんといっしょ」をのぞいてみるつもりだ。