稽古場は「ご近所付き合い」設計! 9年ぶり復活の放駒部屋 親方に聞いた
大相撲で師匠の放駒親方(元関脇玉乃島)は言う。「先代のように地元を大事にしたい。アットホームというか、近所の皆さんとお友達になれたらいいなと思います」。
大相撲
佐々木隆史
元若嶋津・荒磯親方の部屋を継承
放駒親方(元関脇玉乃島)は、昨年12月に先代二所ノ関の荒磯親方(元大関若嶋津)から部屋を継承した。9年ぶりに「放駒部屋」が復活。それまで「二所ノ関部屋」は千葉・船橋市にあったが、4月に東京・足立区六町に移転した。4月9日には部屋開きが行われ、放駒親方は師匠として日々、稽古指導に励んでいる。
3階建ての新しい部屋は、住宅街の一角に建てられた。つくばエクスプレスの「六町」駅から徒歩約10分の立地で「大規模な区画整理がされたきれいな場所です。後援会長に紹介してもらい、妻が気に入ったこともあって決めました」と選んだ場所だ。1階は稽古場、2階は力士たちが生活する場所、3階は親方夫妻の生活場所となっている。
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、近所との交流はまだ浅い。それでも「よく部屋の前に来て看板の前で写真を撮る人が来る。近所にあいさつしに行ってもよくしてもらっている。少しずつ受け入れられて、歓迎してもらっていると思う」と話す。
「ちゃんこ振る舞いたい」
先代の二所ノ関の荒磯親方も、船橋市に部屋があった当時は近所との交流を大切にしていたという。「そういう先代のやり方はいいなと思うのでまねしていきたい。今はただ必死にやっていますけど、自分なりに肉付けしてやっていきたい」と話した。
新型コロナの影響で、今は自由に朝稽古の見学が出来ない。「近所の方にちゃんこを振る舞いたいし、稽古見学にも来て頂きたいと思っている。早く、そういう時期になればいいなと思います」と切に願った。新しい部屋の1つのこだわりとして「稽古場は前の部屋と同じぐらいの大きさにしたかった」と土俵周りの広さも十分確保しつつ、上がり座敷も広く作り、多くの人が稽古見学しやすい環境が整っている。
近所との交流も大切だが、力士を育てることも大切だ。現在、部屋には8人の力士が所属しており、関取は平幕の一山本、十両の嶋津海と松鳳山の3人だ。その3人は先代が新弟子時代から見てきただけに「今の関取らの番付を1枚でも上に上げたいという気持ちはあるけど、自分で声をかけて部屋に連れてきた力士を関取に育ててみたいとも思う」と師匠としての夢を口にした。新たに部屋を構えた街で、夢に向かって歩み進める。