男子200メートル(車いすT54)で生馬知季(26=WORLD-AC)が25秒62の日本新をマークして優勝した。
「レジェンド」「超人」を超えた。「記録の感覚はなかったんですが…。永尾さんが長居で出していたんで、海外の軽いトラックよりも国内で出したいと思っていました。よかったです」。生馬の言う永尾嘉章さんは、88年ソウルから16年リオデジャネイロまでパラリンピック7大会に出場。04年アテネ大会1600メートルリレーで銅メダルを獲得し、53歳で出場したリオでは100メートルのファイナリストになった短距離界の第一人者だ。
その永尾さんが15年7月に大阪・長居で記録した25秒80を0秒18上回った。昨年12月末に右上腕部を骨折して3カ月間入院。車いすに乗って練習を始めたのが4月になってからという出遅れたシーズンで、思わぬ日本新が誕生した。
「練習で左腕が万全ではなくてもトップスピードに乗っていける感覚をつかめたんです。力だけじゃないという感じです」
本人にしか分からない微妙な感覚。得意のスタートから一気にスピードに乗れたことが、後半の粘りにもつながった。