世界ランキング12位の日本が同36位のタイを11-4(前半7-0)で下し、通算成績を3勝1敗とした。大会は出場7チームが総当たりのリーグ戦を行い、上位4チームが準決勝に進出する。

チームをリセットするために江黒直樹監督(54)が指名したのは、主将の川嶋悠太(25)だった。アジア最強、世界4位の中国に初黒星を喫した翌日の大事な試合で、今大会初めてスタメンに起用した。

その川嶋が守備の要、センターで体を張った。タイの攻撃を全身で受け止め、ボールをライト山口凌河(22)とレフト金子和也(19)に託す。的確に攻撃フォーメーションの指示を出した。両サイドがポジションを移動しながら正確なスローを決めて前半のゴールラッシュで流れをつくった。

「悠太がチームで一番ゴールボールを知っている。気分転換も兼ねて出しました」と江黒監督。フル出場で3勝目の原動力になった川嶋は「アップ中に『頼むぞ!』と言われました。これまであまり調子がよくなくてスタートで使ってもらえませんでしたが、期待に応えられてよかったです」と汗を拭った。そして「煮詰まってしまって10点差(コールド勝ち)をつけられなかったのが今後の課題」と、オウンゴールなどのミスもあって突き放せなかった後半の内容を反省点に挙げた。

中国が4連勝で首位に立ち、日本、世界8位のイランが1敗で続く。開催国枠で初出場する東京パラリンピックに、アジア王者の称号を掲げて臨むための戦い。8日には世界45位のインドネシア、イラン戦がある。「少しでもいい順位で準決勝に進むために頑張ります」。川嶋の言葉に力がこもった。

◆ゴールボール 視覚障がい者による対戦型チームスポーツ。1チーム3人でコートはバレーボールと同じ18×9メートル。両サイドにコート幅と同じゴール(高さ1・3メートル)がある。攻撃側は鈴の入ったボールを相手ゴールに投球し、守備側は全身を使ってセービングする。選手はボールの鈴の音や相手の足音、床のわずかな振動などを頼りに、攻撃と守備を攻守を交互に入れ替えて得点を競う。試合は前後半12分の計24分、ハーフタイムは3分。選手は視力の程度に関係なくアイシェード(目隠し)を装着してプレーする。