千葉県成田市は24日、アイルランド・パラリンピック委員会(PI)と事前キャンプ地に関する協定の期間延長と、市民との今後の交流を推進する「レガシー協定」の調印式をオンラインで行った。大会の1年延期にともない昨年10月に締結した協定書に期間の延期などを補足して、大会への準備とともに、共生社会実現に向けた取り組みを一層深めていく。

成田市は17年6月に視察に訪れたPIのアドバイスを参考に、もともと改修予定だった中台運動公園陸上競技場と、同水泳プールのバリアフリー化を実現。同国の陸上、水泳などのパラリンピック代表選手、スタッフら約50人を受け入れる準備を整えていた。

世界的なコロナ禍の影響で大会は1年延期になったが、成田市の小泉一成市長は「アイルランドは共生社会の取り組みが進んでいることを、この3年間の交流の中で知った。1年延期になったことを前向きにとらえ、成田市でも積極的に未来を見据え、アイルランドの取り組みを取り入れていきたい」と話した。

すでに成田市ではこの機会を最大限に生かすため、昨年7月に市内宿泊施設の客室や共用部分へのバリアフリー化を支援するための補助金を創設。外国人旅行者に限らず、車いす利用者や高齢者などにやさしいユニバーサルデザインを積極的に推進している。

コロナ禍の拡大で依然として日本とアイルランドの行き来は難しい状況だが、現地からオンラインで調印式に臨んだPIのミリアム・マローンCEOは「コロナで延期になり、不安定な時期に成田市は変わらず対応してくれてとても心強かった。今後も交流を深めていきたい」と謝意を伝えた。成田市とPIは共同運営による交流Facebookもスタートさせて、双方の現状を伝え合い、選手にエールを送るなど来年の本番へ向けた準備と交流を進めていく。