「水の怪物」が五輪史に金字塔を残し、水泳界から去った。マイケル・フェルプス(31=米国)は競泳人生で最後のレースとなった男子400メートルメドレーリレーに出場し、チームは3分27秒95で優勝。五輪史上最多更新となる23個目の金メダルを獲得し、有終の美を飾った。ロンドン大会後に一時引退したが、2年前に現役復帰。今大会も6個(金5、銀1)のメダルを得て通算28個(金23、銀3、銅2)と、こちらも五輪史上最多記録を更新した。

 最後まで怪物だった。水泳人生最後のレースとなった男子400メートルメドレーリレー。バタフライの第3泳者のフェルプスはトップで引き継ぐと、独特の豪快なフォームで後続を引き離した。通算23個目の金メダルが決まると、チームメートと抱き合って喜びを爆発させた。

 「今日はプールに来て、最後なんだなと胸がいっぱいだった。やろうとしたことは全部できた」。12年ロンドン大会後に一時引退。2年前に復帰した31歳は衰えを知らない。「復帰するのは大変だったが、ご褒美を得た。これ以上、良い終わり方はない」と穏やかな笑顔を見せた。

 復帰後の2年間は決して平たんな道のりではなかった。14年10月には飲酒運転で逮捕。米水泳連盟から6カ月の出場停止処分を食らう。だが、新たな家族の存在が立ち直りのきっかけになる。昨年11月には婚約者ニコール・ジョンソンさんとの間に長男ブーマーくんが誕生。最後の五輪では6個(金5個、銀1個)のメダルを得て、萩野と争った200メートル個人メドレーでは史上3人目の4連覇も実現した。

 今大会は米国代表の旗手を務め、チームの主将として若手をけん引した。11歳から指導を受けるボウマン・コーチには「1世代1人ではなく、10世代に1人の存在」と絶賛された。「子供の頃、誰もやったことがないことをしたいと思った。本当に夢が実現した」。怪物のままでプールから去った。【田口潤】

 ◆マイケル・フェルプス 1985年6月30日、米メリーランド州ボルティモア生まれ。7歳から水泳を始め、11歳からボウマン・コーチに師事。00年シドニー五輪に米国競泳陣史上最年少の15歳で出場。18歳でプロスイマー。04年アテネ大会で6冠に輝き、08年北京大会ではマーク・スピッツの記録を抜き1大会で個人最多8冠。通算獲得メダルは五輪史上最多28個(金23、銀3、銅2)。