初出場の藤井菜々子(22=エディオン)が、1時間31分55秒で13位となった。

大会前に「競技の最終目標は(24年大会の)パリとか(28年大会の)ロサンゼルス。そこで女子初のメダル獲得を目指している。今回はステップアップになればいい」と意気込んだ22歳が貴重な経験を積んだ。

成長曲線を描いたまま、晴れ舞台のスタートラインに立った。2月、日本選手権で初優勝。6連覇中だった岡田久美子(ビックカメラ)を上回り「勝てたのは収穫がある。でも、岡田さんが積み上げてきたものは1枚も2枚も上」と口にした。長らく岡田が1人で世界と戦ってきた種目。その土俵に足を踏み入れた瞬間だった。

元々は中長距離の選手。強豪の福岡・北九州市立高に進学したが、1年の冬に左すねを疲労骨折。リハビリを兼ねて始めた競歩が人生を変えた。社会人となり、コンディショニング専門コーチのサポートを受けて、体を作り直した。7位入賞を飾った19年世界選手権や、合宿で岡田と一緒に過ごし「高校の時から本当に憧れの存在。一緒に女子競歩を盛り上げていきたい思いがある」と言い切った。

この種目の五輪最高成績は12年ロンドン大会で渕瀬真寿美がつかんだ9位(上位選手のドーピング違反で11位から繰り上がり)。入賞こそならなかったが、3年後の五輪へ経験を糧にする。